変圧器の基礎・構造①

皆さんこんにちは!NORIです!

今回から「変圧器」シリーズに入っていきます。正直に申し上げて、個人的に変圧器は苦手な分野です。しかし、苦手だからこそアウトプットし、記事に書く価値があると信じてますので、温かい目でご覧いただけると嬉しいです。(笑)

今回は変圧器の基礎と構造について書いていきます。

それでは行きましょう!Let’s go!!

変圧器の役割

変圧器はその名の通り「電圧を変換する」といった目的で使用されます。電圧を上げたり(昇圧)、電圧を下げたり(降圧)したいときに用いるわけです。

そもそも電気がどのように家庭まで来るのか。というのを<画像1>で確認してみましょう。

<画像1>

家庭に電気が来るまで、変電所・変圧器を経由しています。これは需要地まで効率よく電気を届けるためにこのような方式を取っています。電気は高電圧で送電した方が送電ロスが少なくなるのです。(※詳細は↓こちらで説明しています。)

このように変圧器は、電力系統において、電圧を昇降し送電ロスを最小限にし需要地に届けるという非常に重要な役割を担っているのです。

これが変圧器の主な役割です。

変圧器の仕組み(単相変圧器)

変圧器は大きく分けると「単相変圧器」と「三相変圧器」に分けられます。名前の通り、単相交流を変圧するのか、三相交流を変圧するのかの違いになります。

ここでは分かりやすいように、単相交流を例にとって解説していきます。

変圧器の仕組み(単相交流)

<画像2>をご覧ください。

<画像2>

変圧器の中身は主に、「鉄心」と「巻線」で構成され、それぞれの役割は次の通りです。

  • 鉄心・・・・磁束の通り道
  • 巻線・・・・電流が流れ、磁束を発生させる。

大まかな構造は非常にシンプルです。

何故電圧を変えることが出来るのか?

では大まかな仕組みが理解できたところで、変圧器の役割である「変圧」を行う原理を解説していきます。この原理の理解に必要な前提知識は、以下の二つです。

  1. 右ねじの法則
  2. ファラデーの電磁誘導の法則

この二つをまずは解説していきます。不要な方は飛ばしてください。

右ねじの法則

<画像3>をご覧ください。<画像3>中のように電流が上向きに流れている場合、反時計回りの方向に周囲に磁界が発生します。

<画像3>

これは<画像3>中右の「一般的なねじ」のように、右回りにねじを締めていくと、奥に刺さっていく様子になぞらえて、「右ねじの法則」と呼んでいます。大変重要な法則です。

では、「右ねじの法則」を変圧器の巻線に電流を流し適用してみましょう。

<画像4>

<画像4>中の巻線一本一本に「右ねじの法則」を適用してみました。すると鉄心中の磁界(磁束)の方向は上向きの一方向に定まりました。

感の良い方はお気づきかと思いますが、「右ねじの法則」は電流と磁界を入れ替えても成り立ちます。このようにして、変圧器巻線に電流を流すと、鉄心中に磁束が生じます。↓<画像5>参照

<画像5>

では、<画像5>のように巻線1に直流電圧を印加し、直流電流を流すと、巻線2には電圧は生じるでしょうか?

答えは「No」です。では、巻線2に電圧を生じさせるためには、どうすればよいのか。この時に用いる法則が「ファラデーの電磁誘導の法則」になります。

(※詳しい方は、直流電源を接続した瞬間の過渡現象は?と思われるかと思いますが、<画像5>は定常状態の事を言っていますので一応伝えておきます(笑))

ファラデーの電磁誘導の法則

「ファラデーの電磁誘導の法則」は以下の通りです。

電磁誘導において、1つの回路に生じる誘導起電力の大きさはその回路を貫く磁界の変化の割合に比例するというもの

引用:ファラデーの電磁誘導の法則 – Wikipedia フリー百科事典 ウィキペディア日本語版より

さらに「ファラデーの電磁誘導の法則」は以下の式で表されます。

$$e=-N\frac{dΦ}{dt}[V]$$(N:コイルの巻数 dΦ:磁束の変化)

ここで、分かりやすく説明するために、ちょっと懐かしいイラストを準備しました。(分かりやすくするために極端な例を用いています。)

<画像6>には磁石とコイルを用意してあります。この状態の時、コイルを貫いている磁束は二本です。

<画像6>

次に、磁石をコイル方向に向かって動かしてみましょう。↓<画像7>

<画像7>

注意して頂きたいのが、磁石を動かしている途中であるということです。いわば、変化”している”ときになります

今回の場合コイルを二本の磁束が貫いている状態(状態1)から、コイルを四本貫いている状態(状態2)に変化する。すなわち、コイルを貫く磁束が”増加している”こととなります。

その増加している最中にコイルには<画像8>のような現象が起こります。

<画像8>

磁石による磁束が増加(緑の矢印)すると、その変化を妨げる方向赤の矢印)に磁束が発生するように起電力が生じ、電流が流れます。

ここでもう一度「ファラデーの電磁誘導の法則」の式を見てみましょう。

$$e=-N\frac{dΦ}{dt}[V]$$(N:コイルの巻数 dΦ:磁束の変化)
$\frac{dΦ}{dt}$は磁束の変化を表し、マイナス記号は、「妨げる向き」に誘導起電力が生じることを表しています。
そして、磁石が移動し終わったとき、変化がなくなるので、誘導起電力も0となり電流も流れなくなります。↓<画像9>
<画像9>

以上が「ファラデーの電磁誘導の法則」の説明になります。

変圧器へ適用

では、「右ねじの法則」と「ファラデーの電磁誘導の法則」を用いて、変圧の過程を見ていきましょう。

「ファラデーの電磁誘導の法則」より、誘導起電力を生じさせるには、磁束を変化させる必要があり、磁束は電流によって生成されます。つまり、電流を時間と共に変化させる。そうです。交流を用いるのです。

<画像10>

<画像10>にて一次側に交流電源電圧$e_{1}$を印加すると交流電流が流れます。すると、右ねじの法則により鉄心中に磁束$φ$が生じます。当然この磁束も、向きと大きさが変化します。

この時、磁束はイラスト中の矢印の向きに増加しているものとすると、二次側巻線では「ファラデーの電磁誘導の法則」によって、磁束の変化を妨げる方向に、巻数Nに比例した大きさの起電力$e_{2}$が生じます。

この時、一次側電圧と二次側電圧の間には次の関係があります。超重要です。

$$\frac{e_{2}}{e_{1}}=\frac{N_{2}}{N_{1}}$$
$$e_{2}=\frac{N_{2}}{N_{1}}・e_{1}[V]$$

つまり、コイルの巻数比$\frac{N_{1}}{N_{2}}$によって自由に昇圧又は降圧することが出来るのです。

$N_{2}$のほうが大きければ、昇圧になりますし、小さければ降圧になります。

補足~変圧比の導出~

ここでは変圧比の導出を行いますが、「微分積分」の知識が必要になります。したがってここでは補足としました。

以下の画像に導出過程を載せます。

 

 

参考文献

  • 電気学会「電気工学ハンドブック 第7版」

 

 

 

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