【dcモーター】直流電動機の構造と基礎をイラスト付きで解説!【整流子・ブラシなかったらどうなる?】 

皆さんこんにちは!NORIです!

直流電動機(dcモーター)とは?

直流電動機(dcモーター)とは、

直流(dc)電源に接続することによって駆動する電動機(モーター)
のことを言います。

直流機の簡単な構造

まずは、直流電動機の簡単な構造を見てみましょう。<画像1>

画像1

 

以下主な構成部品と役割の説明になりますので、”回転”を理解するのに重要な「フレミングの法則」に関しては下のリンクで説明いたします。ぜひご覧ください。

ここからは主な構成部品とその役割の説明を行っていきます。回転原理の理解に必要な「フレミングの法則」に関しては下のリンクにて説明していますので是非ご覧ください。

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直流機は大まかに分けると「固定子」と「回転子」からなります。主な構成部品と役割は以下の通りです。

固定子(その名の通り動かない・固定されている部分)

固定子の構成要素は以下の通りです。<画像2>参照。

界磁巻線・・・・・直流電流を流し、「右ねじの法則」により磁界を発生させます。

界磁鉄心・・・・・①で発生した磁界を通します。高透磁率材料を用いることで、磁束密度を大きくします。

界磁巻線と界磁鉄心の組み合わせ。これは”電磁石”というと分かりやすいかと思います。

磁極片・・・・・・回転子に均等に磁束を与える部分です。

継鉄・・・・・・・界磁鉄心間の磁束の通り道です。

画像2

直流電動機は、界磁方式の違いによって「他励・分巻・直巻・複巻」の四つに大きく分類出来ます。それぞれの概要に関しては下のリンクで解説していますので是非ご覧ください。

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回転子(その名の通り回転する部分:電機子)

回転子の主な構成要素は以下の通りです。<画像3><画像4>参照。

電機子巻線・・・・外部電源に接続され、直流電流が流れます。

整流子・・・・・・回転子(コイル)に流れる電流の方向を切り替えて、一定方向に回転させるための部品です。

ブラシ・・・・・・整流子と接触し外部電源とコイルをつなぎます。

電機子鉄心・・・・磁束が通りやすくなるように設けられます。電機子巻線は鉄心のスロットに埋め込まれます。

画像3
画像4

初めて学ぶ方は、ブラシと整流子が混合しがちかと思いますが、一度自分の手で図を描いてみると覚えられると思います。

ブラシと整流子の役割

ブラシと整流子。学びはじめでは、どんな役割を持っているのか分かりにくいかと思います。

ということで「ブラシ・整流子がなかった場合」どうなるのかを理解することで、この部品の必要性を理解することにしましょう。(※前提知識として「フレミングの左手の法則」が必要になりますのでご存じの無い方は下記リンクを参照にしてください。)

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では、もしブラシと整流子がなかった場合どうなるのか、見ていきましょう。

ブラシ・整流子が無い場合

↓<画像5>では”コイルと外部電源が一体となっている(ブラシ・整流子なし)”と仮定します。つまり、青側(コイル辺右側)と赤側(コイル辺左側)には、常に同じ方向の電流が流れていることになります。

すると、「フレミングの左手の法則」によりコイルに電磁力がはたらき、青側には上向き・赤側には下向きの力が働きます。結果、コイル全体としては「反時計周り」に回転する力が働くことになります。

画像5

↓<画像6>では<画像5>の状態からそのまま反時計周りに、コイル・外部電源が共に90°以上回転した状態を示しています(あくまでもイメージです)。コイルと外部電源は共に回転しているので、青側・赤側にはそれぞれ<画像5>と同じ方向の電流が流れます。

ここでフレミングの左手の法則により電磁力が働きますが、青側には上向き・赤側には下向きの力が働きます。結果としてコイル全体には「右回り」に回転しようとする力が働くことになります。

画像6

結果として<画像5>→<画像6>に状態が移行することで、電機子巻線にかかるトルクが逆転してしまっています。これでは一定方向に回転することが出来ず、モーターとして成立しません。そこで、ブラシと整流子が登場するわけです。

ではブラシと整流子を設けた場合の回転プロセスを見ていきましょう。

ブラシ・整流子を設けた場合

整流子は電機子巻線と共に回転します。まず<画像7>では図の方向にブラシ・整流子を介して電流が流れ、回転子には反時計周りに回転するような力が働きます。

画像7

次に<画像8>を見てみると、回転子が反時計周りに回転し、電機子巻線の赤コイル辺がN極側に来ました。<画像6>の場合、各コイル辺に流れる電流の向きは変化しなかったので、トルクが反転せず、一定の回転方向となる様な力が働きませんでした。

しかし<画像8>の場合、ブラシ・整流子のおかげで各コイル辺に流れる電流の向きが変化し、各コイル辺に加わる力の向きも変化しました。これでまた、反時計回りに回転するような力が働きます。

画像8

そして<画像9>は<画像7>の場合と比較して180°回転した状態になります。ここでも反時計周りに回転するような力が働いています。

<画像9>

結論として、

ブラシ・整流子は電動機の回転方向を一定方向にするために設けられる部品

ということになります。

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表紙にも記載のある通り、まさに、「モータのことはこれ1冊でOK」な本となっています。

【直流機を深く学ぶならコレ!】メカトロニクスのモータ技術

こちらを一言で表現するならば、DCモータを極めるための本です。個人的に非常に難しい本だと感じましたが、その分学びも多くありました。

内訳としては、DCモータ絡みのページが400ページ強。電磁気に関するページが60ページほど。となっています。電験3種どころか2種・1種でも出題されないような、どちらかというと「モータ開発者・使用者」等の実務者向けの本であるように、個人的には思います。したがって<上級者向け>としました。

それでも私のような人間にもある程度理解できるよう書いてあるのが本書の素晴らしい点であると感じています。

本自体の重厚感・紙質にもこだわりぬかれた「高級な贅沢品」であると感じました。

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