変圧器の基礎・構造②~一次・二次換算とT型・L型等価回路~

皆さんこんにちは!NORIです!

前回は変圧器の基礎・構造①ということで、変圧器の系統での役割・変圧の仕組み・変圧比αの導出を行いました。ぜひご覧ください。↓こちら

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今回は前回の内容を踏まえて、変圧器の等価回路を学んでいきましょう!

それではLet’s go!

変圧器の等価回路

まずは単相変圧器の等価回路から学習していきましょう。前回の記事に用いた、変圧器の大まかな構造を示した画像を見てみましょう。↓<画像1>

<画像1>

<画像1>に示した通り、変圧器は主に、

  1. 一次巻線
  2. 鉄心
  3. 二次巻線

に分けることが出来ます。さらに巻線を「巻線抵抗」と「巻線漏れリアクタンス」に分けることで、等価回路で表現することが可能となります。

では<画像1>の巻線から、「巻線抵抗」と「巻線漏れリアクタンス」を分離して書いてみましょう。↓<画像2>

<画像2>

巻線抵抗で消費される電力は、負荷損の一種である銅損”になります。

では次に”鉄損”を表す部分と、”磁束を生み出す部分”を付け足します。この二つを合わせて「励磁回路」と言うのですが、その内容は<画像3>のようになります。

<画像3>

励磁コンダクタンス$g_{o}$で消費される電力が”鉄損”を表し、励磁サセプタンスは電流が流れることで、磁束を生み出す部分を表現しています。

励磁コンダクタンスは励磁抵抗の逆数、励磁サセプタンスは励磁インダクタンスの逆数。すなわち、電流の流れやすさを表現していることに注意してください。コンダクタンス・サセプタンス・アドミタンスの単位は[S]で、”ジーメンス”と読みます。

 

必要なものはそろったので、少し整理してみましょう。

<画像4>

どうでしょうか?だいぶ見覚えのある回路になってきたのではないのでしょうか?

しかし、このまま一次側と二次側が分離していると計算しずらいので、一次と二次をくっつけたいと思います。↓<画像4>

<画像4>

一次側と二次側を無理やりくっつけてみました。しかしこれでは電気的に整合が取れないのが分かりますでしょうか?(-_-;)

例えば、$I_{1}^{‘}$と$I_{2}$は等しくないですし、$E_{1}$と$E_{2}$も等しくありません。これでは電気回路として成り立ちませんので、左右の回路を電気的に等価になる様に操作を加えます。

それでは次に行きましょう。

変圧器の二次側を一次換算する

今回の場合、二次側の値に操作を加え、一次側と電気的に等価にするので、「二次側を一次換算する」と言ったりします。

では、一番わかりやすい例を持ち出すと、$E_{1}$と$E_{2}$を等しくするためには、$E_{2}$にどんな値を掛ければよいのでしょうか?

前回の記事より、$E_{1}$と$E_{2}$の間には、下記の式のような関係があることが分かったのでした。

$$\frac{E_{1}}{E_{2}}=\frac{N_{1}}{N_{2}}$$

よって$E_{2}$は、

$$E_{2}=\frac{N_{2}}{N_{1}}E_{1}$$

つまり、

$$\begin{align}E_{2}×\frac{N_{1}}{N_{2}}&=\frac{N_{2}}{N_{1}}E_{1}×\frac{N_{1}}{N_{2}}\\&=E_{1}\end{align}$$

となります。ここで変圧比$\frac{N_{1}}{N_{2}}=α$とすると、

$$E_{2}^{‘}=αE_{2}=E_{1}$$

となるのです。(※$E_{2}^{‘}$のように右上にダッシュを付けると、一次換算したものであることを意味します。)

同様に電流に関しても、$I_{1}^{‘}$と$I_{2}$が等しくなるように、$I_{2}$に対して操作すると、以下の式が導かれます。

$$I_{2}^{‘}=\frac{1}{α}I_{2}=I_{1}$$

これで二次側の誘導起電力を電流は一次換算することが出来ました。

では二次側の抵抗やインダクタンスはどうなるでしょうか?二次側インピーダンスをまとめて$Z_{2}$で表すと、

二次側インピーダンスの一次換算値は、

$$\begin{align}Z_{2}^{‘}=\frac{E_{2}^{‘}}{I_{2}^{‘}}&=\frac{αE_{2}}{\frac{1}{α}I_{2}}\\&=α^{2}Z_{2}\end{align}$$

となりました。

つまり二次抵抗の一次換算値、二次漏れリアクタンスの一次換算値、負荷インピーダンスの一次換算値はそれぞれ、

$$r_{2}^{‘}=α^{2}r_{2}$$

$$x_{2}^{‘}=α^{2}x_{2}$$

$$z_{2}^{‘}=α^{2}z_{2}$$

となることが分かりました。

これらの結果をまとめてみましょう。

<画像5>

これで二次側の一次換算は完了です。

まとめると、

二次側を一次換算<表1>
二次側の電圧 α倍する
二次側の電流 $\frac{1}{α}$倍する
二次側の抵抗・リアクタンス等 $α^{2}$倍する

一次側を二次側に換算

やることは「二次側を一次側に換算する」のとは逆になるだけです。

つまり、<表1>を「一次側を二次換算に」変えると、<表2>のようになります。

一次側をニ次換算<表1>
一次側の電圧 $\frac{1}{α}$倍する
一次側の電流 α倍する
一次側の抵抗・リアクタンス等 $\frac{1}{α^{2}}$倍する
一次側のコンダクタンス・サセプタンス等 $α^{2}$倍する

そして等価回路は次のようになります。

<画像6>

T型等価回路とL型等価回路

実は、<画像5>のような等価回路を「T型等価回路」と言います。

一方で、「L型等価回路」というものもあるのですが、これらの違いは、”励磁回路の位置”にあります。

回路計算を分かりやすくするために、励磁回路を右にずらしたもの。これが「L型等価回路」です。

<画像7>

「L型等価回路」は一次電流による電圧降下が考慮されないというデメリットもありますが、実用上問題ないということで、このような等価回路になっているのです。

ちなみにL型・T型の由来は<画像8>のようになります。

<画像8>

L型等価回路計算が電験ではよく出ますので、しっかり理解しておいてください。


それでは今回の記事は以上になります。ここまで読んで頂きありがとうございました。

お疲れさまでした(*_ _)

 

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