<H24年度(2012年)問4> 三相誘導電動機の効率に関する計算問題(解説あり)

問題

三相誘導電動機があり、一次巻線抵抗が$15[Ω]$、一次側に換算した二次巻線抵抗が$9[Ω]$、滑りが$0.1$のとき、効率$[\%]$の値として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、励磁電流は無視できるものとし、損失は、一次巻線による銅損と二次巻線による銅損しか存在しないものとする。

(1)75 (2)77 (3)79 (4)82 (5)85

解答を見る
(2)

前提知識

①誘導電動機の1相分等価回路(一次側換算)は以下のようになります。

画像1

等価回路に関する詳しい内容は、以下の記事で解説していますので是非ご覧ください。

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解説

初めてこの問題をご覧になられたとき、与えられている数値の少なさに驚かれた方もいらっしゃるかと思います。私もそうでした(笑)。しかし、冷静になれば難しい問題ではありません。では、解いていきましょう。

まずは『前提知識①』で紹介した1相分等価回路を問題文に合うように直してみましょう。題意より、今回考慮する損失は一次銅損と二次銅損のみであり、励磁電流も鉄損も無視することが出来ると読み取ることが出来ます。つまり、一次巻線抵抗と二次巻線抵抗分のみを示した等価回路で良いのです。

画像2

<画像2>のようになってしまえば、もう答えまでの道筋が見えた方もいらっしゃるかと思います。

では、この電動機の1相分の一次入力$P_{1}[W]$を求めると、

$$\begin{align}P_{1}&=(r_{1}+r_{2}’+\frac{1-s}{s}r_{2}’)×I_{1}^{2}\\&=(15+9+\frac{1-0.1}{0.1}×9)×I_{1}^{2}\\&=105I_{1}^{2}[W]\end{align}$$

次にこの電動機の1相分の出力$P_{o}[W]$を求めます。

$$\begin{align}P_{o}&=\frac{1-s}{s}r_{2}’×I_{1}^{2}\\&=\frac{1-0.1}{0.1}×9×I_{1}^{2}\\&=81I_{1}^{2}[W]\end{align}$$

最後に、1相分の1次入力と1相分の出力より、効率$η[\%]$を求めましょう。

$$\begin{align}η[\%]&=\frac{P_{o}}{P_{1}}×100\\&=\frac{81I_{1}^{2}}{105I_{1}^{2}}×100\\&≒77[\%]\end{align}$$

よって答えは(2)となります。

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