誘導電動機~表皮効果とトルクの比例推移~<四機器>

皆さんこんにちは!NORIです!

今回は、”表皮効果”と”トルクの比例推移”について書いていきたいと思います。

その前にこちらの記事↓

関連記事

皆さんこんにちは!NORIです! 今回から「誘導電動機の基礎•構造」ということで、誘導電動機についての解説記事に入っていきます。 誘導電動機は四機器の中で1番目立っていて(偏見ですが)、得点しやすい範囲でもあります。これ[…]

 

にて、誘導電動機の固定子・回転子がどうなっているのかの説明をしていますので、まずはこちらをご覧になっていただいたほうが、今回の記事内容をより理解できるかもしれません。

特殊かご型がなぜ、あのような形状になっているのか順に見ていきましょう。

 

それではLet’s go!!

表皮効果

交流の学習をしていると「表皮効果」というものが出てきます。電気になじみの無い方からすると不思議な現象ですよね。

まずは表皮効果の意味を確認しましょう。

表皮効果とは、

交流電流が導体を流れるとき、電流密度が導体の表面で高く、表面から離れると低くなる現象のこと

引用:表皮効果 – Wikipedia

となります。

電流密度というのは単位面積あたりの電流値になりますので、下の画像では以下の式になります。

<画像1>

電流密度$$J=\frac{I}{A}[A/m^{2}]$$

電験でよく問われるのは、「表皮深さ (浸透深さ ):δ」が何に反比例するのかということです。

表皮深さというのは「電流が表面の電流の$\frac{1}{e}$となる深さ」の事を言います。ここで登場した”e“というのは”ネイピア数”のことで、$e=2.71826…….$と続く無理数です。

なので$$\frac{1}{e}=\frac{1}{2.71828….}=0.3678..⇒ 約36.8[\%]$$

であり、電流が表面の電流の$約36.8[\%]$となる深さを言います。

表皮深さを求める式は

$$δ≒\sqrt{\frac{2}{ωσμ}}=\sqrt{\frac{2ρ}{ωμ}}$$
$$(※ω:角速度 σ:導電率 ρ:抵抗率 μ:透磁率)$$

となります。

この式の導出を行いたいところですが、正直難しいです。「マクスウェル方程式」の知識が必要になりますし、計算力も必要になります。難易度は一種を飛び越えますのでここでは割愛したいと思います。(いつかチャレンジしますね(´・ω・`)

そこで今回は、直感的に公式が理解できるような説明を見つけましたので、自分なりに説明してみます。


まず<画像1>のように導体中に交流電流が流れているとしましょう。ここでは見やすさのため、一本の矢印で代替していますが全体に流れていると考えてください。電流が流れると、「右ねじの法則」により周囲に磁界が発生します。

<画像1>

交流電流を考えていますので、電流の大きさと向きは変化し、それに伴って周囲に生ずる磁界も大きさと向きが変わっています。

ここで、「レンツの法則」の登場です。レンツの法則は、「磁界の変化を妨げる方向に電流が流れる」というものでした。したがって<画像2>のような渦電流が磁界の周囲に生じます。

<画像2>

の時、元の電流と渦電流を見比べると、内側で打ち消しあっているのが分かりますでしょうか?

これによって<画像3>のように、内部にいくほど、電流密度が小さくなっているのです。

<画像3>

ここでもう一度「表皮深さ」の式を見てみましょう。$$δ≒\sqrt{\frac{2}{ωσμ}}$$

$ω$は$ω=2πf$で表され、周波数に比例します。周波数が大きくなれば、磁界の変化の割合が大きくなり、妨げる電流も大きくなります。つまり、より元の電流が打ち消され、表皮深さが浅くなっていくイメージです。導電率”$σ$”も、透磁率”$μ$”も大きくなれるほど、妨げる電流が大きくなる。定性的な説明になりましたが、こんなイメージを持っていれば公式は直感的に覚えられると思います。

(※厳密な説明ではないので、あくまでも公式を覚える際のイメージとして参考にしてください。)

速度ートルク特性曲線とトルクの比例推移

では次に「トルクの比例推移]について説明しますが、その前に「速度ートルク特性曲線」を学びましょう。

そんなの分かってるわ‼という方はスキップしてください( ´∀` )     

 

速度ートルク特性曲線

速度ートルク特性曲線というのはその名の通り、誘導機の”速度”と”トルク”の関係を表したものになります。

横軸に滑り$s$、縦軸にトルク$T$をとったものです。<画像4>参照。

<画像4>

電験を学習されたことのある方なら、一度は見たことがあるかと思います。

ここでのポイントは以下の通りです。

ポイント!
①s=1の時のトルクを「始動トルク」という。
②最大トルクは停動トルクとも呼ばれる。
③通常運転範囲では、トルクと滑りは比例関係であるとみなせる。
 
③について「あれ?反比例ではないの?」と思われる方もいるかと思いますので、少し説明します。
確かに、グラフを「左から右」にみると、トルクが小さくなっているので反比例と考えがちですが、左から右に行くにつれて滑りは小さくなっていますよね。つまり、滑りが大きくなる(右から左)とトルクは大きくなっているので、「トルクと滑りは比例関係である」といえます。

<画像4>は誘導”電動”機の「速度ートルク特性曲線」でしたが、このグラフには続きがあります。それは以下の<画像5>の通りです。
<画像5>
そうです。<画像4>は一部分を切り取ったものだったのですね。その両サイドにはsが「2<s<1」のゾーンと「0<s<1」のゾーンが存在するのです。それぞれは、
2<s<1⇒制動
1<s<0⇒電動
0<s<-1⇒発電
と呼び、今回は本題ではありませんのでグラフさえ描けるようになれば、バッチグーです👍
(制動・発電に関しては、別途解説記事を設けます。)

トルクの比例推移

ではでは本題の「トルクの比例推移」に入りましょう。

この比例推移というのは、「任意の滑り(回転速度)の時に、任意のトルクを取り出したい」ときに用います。先ほどの<画像4>でもあったように、ある滑りの時のトルクは一点に決まってしまいます。

では例えば、「始動時(s=1)にもっと大きなトルクを出したい!!」となった場合どうすればよいのでしょうか?

答えは、「二次抵抗を大きくする」となります。ここで<画像6>をご覧ください。

<画像6>

 

<画像6>では、3つの場合の速度ートルク特性曲線が描かれています。これらはそれぞれ「二次抵抗値」が異なっており、その抵抗値は$$r_{3}>r_{2}>r_{1}$$の関係があります。

ここで始動時(s=1)を見てみましょう。

抵抗値が大きいほど始動トルクは大きくなっていますね。これ、重要です!

!重要!
二次抵抗値を大きくすると、始動トルクが大きくなる。

次に、<画像6>のように横に線を引くと、同一トルクとなる3点が現れます。この時の滑りをそれぞれ$s_{1},s_{2},s_{3}$とすると、次の関係が現れます。

$$\frac{r_{1}}{s_{1}}=\frac{r_{2}}{s_{2}}=\frac{r_{3}}{s_{3}}$$

例として二次抵抗値が、$r_{1}$と$r_{2}$の二つを比べて考えてみましょう。分かりやすいように極端な例で説明しますのでご了承ください。

今、二次抵抗値が$r_{1}=100[Ω]$、滑りが$s_{1}=0.01$の状態で運転している。この時”トルクを変えないで”滑りを$s_{2}=0.02$として運転したい。二次抵抗値を何[Ω]とすればよいか?
では、解いてみましょう。
トルクを変えない=一定としたいので、トルクの比例推移の式を用います。
トルクの比例推移の式、$$\frac{r_{1}}{s_{1}}=\frac{r_{2}}{s_{2}}$$より、$$\frac{100}{0.01}=\frac{r_{2}}{0.02}$$ $$\begin{align}r_{2}&=\dfrac{0.02}{0.01}\cdot 100\\& =200[Ω]\end{align}$$
となりました。結果低い回転速度で同じトルクを出せるようになりましたね。
今回は二次抵抗の値を求めましたが、滑りを求めることもあります。自由自在に式を操れるよう、過去問をたくさん解いてくださいね。
!重要!
同一トルクを出力するとき$$\frac{r_{1}}{s_{1}}=\frac{r_{2}}{s_{2}}=\frac{r_{3}}{s_{3}}$$
となる。
 

回転子の抵抗値を変える方法

もうひと踏ん張りです。

ここまで「表皮効果」と「トルクの比例推移」を学んできました。この二つをなぜ一緒に学んだかというと、「特殊かご型誘導電動機」を理解するためです。

誘導電動機の種類については、こちらをご覧ください。

関連記事

皆さんこんにちは!NORIです! 今回から「誘導電動機の基礎•構造」ということで、誘導電動機についての解説記事に入っていきます。 誘導電動機は四機器の中で1番目立っていて(偏見ですが)、得点しやすい範囲でもあります。これ[…]

いきなり「特殊かご型誘導電動機」に行く前に、抵抗値を変える方法を挙げてみましょう。

  1. 「巻線型誘導電動機」を用いて、可変抵抗である二次抵抗の値を変化させる。
  2. 回転子導体の配置・形状に工夫をした「特殊かご型誘導電動機」を用いて、始動時と通常時の抵抗値を変化させる。

巻線型誘導電動機の場合

まず巻線型誘導電動機の仕組みを見てみましょう。

回転子がスリップリングを介して、可変抵抗である二次抵抗に接続されています。

簡単な話で、始動時には二次抵抗(可変抵抗)の値を大きくしてあげればいい。それだけですね!

回転子抵抗値を$r_{a}$、可変抵抗の元の値を$r_{f}$(この時の滑り$s_{1}$)、変化後の値を$r_{f}^{‘}$(この時の滑り$s_{2}$)とすると、次のグラフのようになります。

この時同一トルク$T_{1}$において、次の関係式が成り立ちます。$$\frac{r_{a}+r_{f}}{s_{1}}=\frac{r_{a}+r_{f}^{‘}}{s_{2}}$$

抵抗値が大きいままだと、銅損が大きくなってしまうので、始動以降は可変抵抗の値を小さくしていく必要があります。

特殊かご型誘導電動機

特殊かご型誘導電動機には「二重かご型」と「深溝型」の二種類あります。それぞれ見ていきましょう。

  1. 二重かご型
    「二重かご型」は画像のように、回転子表面に細い導体、回転子内側に太い導体を配置します。
    抵抗値$R$は、$$R=ρ\frac{l}{A}   (A:断面積)$$により求められ、断面積に反比例しますので、細い導体のほうが抵抗値は大きくなりますね。

    ここで復習ですが、二次周波数は$f_{2}=sf_{1}$より求められるので、始動時(s=1)の時、二次周波数は大きくなります。

    周波数が大きくなると、表皮効果によって回転子表面の細い導体に多くの電流が流れます。

    つまりこれで、始動時に抵抗値が大きくなり始動トルクの改善を図れるわけです。
    回転数がが上昇(s→0)となっていくと、各導体に電流が均等に流れるようになり、抵抗値が下がることで銅損も抑制できます。

    これが、「二重かご型」の仕組みです。
  2. 深溝形
    「深溝型」も原理は「二重かご型」と同様です。
    始動時に回転子表面の導体に電流が集中し、抵抗値が大きくなります。ただ、「二重かご型」のように回転子表面の導体が細くなっているわけではありませんね。ということは、始動時の抵抗は「二重かご型」ほど大きくなるわけではありません。
    したがって、始動特性は「二重かご型」よりも若干劣ったものになります。

終わりに

ここまで「表皮効果」や「トルクの比例推移」について説明してきました。
表皮効果に関しては、より正確な説明がネット上にもたくさん上がっていますが、正直難しいです。
少し話したように、「マクスウェル方程式」の理解が必須になります。

より正確な理解を求めるのは当然大切ではありますが、分かっていなくても合格できることもあるのです。
やるべきこと、やらなくでもいいことを見極めた学習も時には大切かもしれませんね(何の話(笑))

ここまでお疲れさまでした(*_ _)

 

 

 

 

 

 

 

 

「機械の泉」最新記事情報を更新!管理人NORIと一緒に学ぼう!
>電気を楽しく、機械を好きに。

電気を楽しく、機械を好きに。

「機械の泉」は電気主任技術者試験のみならず、電気を学習するすべての方に向けたサイトです。Twitterでは最新記事のお知らせ・学習過程のツイートやニュースに対する緩いツイートも書いています。フォローしていただけると嬉しいです。

CTR IMG