【誘導制動・誘導発電】誘導機の制動運転と発電運転について知ろう【速度-トルク曲線】

誘導機の「制動・発電」の領域

今回は誘導機の「制動・発電」について学んでいきますが、その前に下の記事をご覧いただいてからだとより理解が深まるかと思います。是非ご覧ください。

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上記事では「表皮効果とトルクの比例推移」についての解説をしました。そのなかで↓<画像1>のグラフが出てきました。

画像1

このグラフ中の電動機領域の両外側が「制動」・「発電」であり、今回はこの領域について解説していきます。

必要な前提知識

「制動」「発電」を理解するために用いる知識は以下の通りになります。

①滑り$$s=\frac{N_{s}-N}{N_{s}}$$
②回転子の回転速度の式$$N=\frac{120f}{p}(1-s)$$
③機械的出力とトルク・回転角速度の関係式$$P_{o}=ωT$$

等価回路は<画像2>のL型等価回路を用います。

画像2

また必要になればその都度画像を出しますので、順を追って見ていきましょう。

制動(2>s>1)

「制動」というのはブレーキの事です。制動は、機械的に回転子を減速する「機械的制動」と、電気的に回転子を減速する「電気的制動」に分けられ、電気的制動の中にもいくつかの種類があります。今回の見出しにある「制動(2>s>1)」というのは電気的制動のうち「逆相制動」を言います。

まず、滑りが大きくなるということは、回転磁界と回転子の回転速度の乖離が大きくなるということです。ここで滑りの公式を確認しましょう。

$$s=\frac{N_{s}-N}{N_{s}}$$

電動機運転中は常に$同期速度N_{s}>回転速度N$の関係が成り立ち、滑りの範囲は($1>s>0$)となります。滑りの式より、滑り$s$が1より大きくなるのは、回転磁界を逆転させたときになります。回転磁界を逆転すれば、相対的に回転磁界と回転速度との差が大きくなり、$s>1$となるのが理解できるかと思います。

ちなみに、回転磁界を逆転は、固定子の三相結線のうち二相を入れ替えれば実現することが出来ます。では、滑りが($2>s>1$)の状態の時、各パラメータがどうなるのか、公式を用いて見ていきましょう。

回転子の回転速度

回転子の回転速度$$N=\frac{120f}{p}(1-s)$$はどうなるでしょうか?
$s$が1より大きいと$(1-s)$は負になります。残りの$f$や$p$は変わりませんので、回転子の回転速度は「」になります。

この「負」というのは、回転磁界と逆向きに回転するという意味ですので、注意してください。

トルク・機械的出力

次にトルク$$T=\frac{P_{o}}{ω}$$はどうなるでしょうか。

すでに回転子の回転速度は「負」であることが分かっています。回転角速度$ω$は表現を変えただけですので、これも「負」になります。・・・①

機械的出力$P_{o}$は、$$P_{o}=3\frac{1-s}{s}R_{2}^{‘}I_{1}^{‘2}$$で求められます。滑りが1より大きくなると機械的出力は「負」となります。・・・②

①②よりトルク$T$は$$\frac{負}{負}$$より、「正」となることが分かりました。

まとめると、回転磁界を逆転させると、回転磁界の回転方向と同じ方向にトルクが働き、回転子にとってはブレーキとなります。

機械的出力が「負」であるということからもブレーキがイメージできると思います。

二次入力

二次入力$P_{2}$は$$P_{2}=3\frac{R_{2}^{‘2}}{s}I_{2}^{‘2}$$で求めることが出来ます。$s$は「正」ですので、二次入力はそのまま誘導機に流れこむ「正」方向となります。

画像3

発電(0>s>ー1)

では次に「発電」の領域を見ていきましょう。滑りが「負」であるというのは、滑りの式↓$$s=\frac{N_{s}-N}{N_{s}}$$より、分子が$N_{s}<N$である状態の事を言います。

これは、回転磁界よりも回転子の回転速度のほうが早くなったときに「発電」領域に入るということです。

では制動の時と同様に、各パラメーターの滑りが「負」であった場合を見ていきましょう。

回転子の回転速度

回転子の回転速度$$N=\frac{120f}{p}(1-s)$$より、sが「負」ならば$(1-s)$は正となり、回転子の回転方向は、回転磁界と同じになります。

これは、当然と言えば当然ですね。

トルク

トルク$T$は、$$T=\frac{P_{o}}{ω}$$であり、回転速度は「正」でしたので、回転角速度も「正」となります。・・・$①^{‘}$

では機械的出力はというと、$$P_{o}=3\frac{1-s}{s}R_{2}^{‘}I_{1}^{‘2}$$であり、$\frac{1-s}{s}$の分子は「正」、分母は「負」となり、結果機械的出力は「負」となりました。・・・$②^{‘}$

出力が「負」であるというのは、言い換えると「外部から回転子を加速させるような入力がある」ととらえることもできます。

$①^{‘}②^{‘}$より、トルク$T$は「負」になります。

これは回転磁界・回転子の回転方向とは逆向きのトルクが働くということですね。

二次入力

では二次入力はどうなるでしょうか?

二次入力$P_{2}$は$$P_{2}=3\frac{R_{2}^{‘2}}{s}I_{1}^{‘2}$$で求めることが出来ます。

この式の$s$が「負」であった場合、二次入力は「負」になります。これは電源に電力が返されることを意味し、まさしく「発電」状態となります。

まとめるとイラストのようになります。

画像4

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