<H22年度(2010年)問4> 巻線形誘導電動機のトルクの比例推移に関する計算問題(解説あり)

問題

極数4で50[$Hz$]用の巻線形三相誘導電動機があり、全負荷時の滑りは4[%]である。全負荷トルクのまま、この電動機の回転速度を1200[$min^{-1}$]にするために、二次回路に挿入する一相当たりの抵抗[Ω]の値として、最も近いのは次のうちどれか。
ただし、巻線形三相誘導電動機の二次巻線は星形(Y)結線であり、各相の抵抗値は0.5[Ω]とする。

(1)2.0 (2)2.5 (3)3.0 (4)7.0 (5)7.5

解答を見る
(1)

前提知識

①誘導電動機の回転磁界の回転速度(以後、同期速度)$N_{s}[min^{-1}]$は、次式で表されます。

$$N_{s}=\frac{120f}{p}[min^{-1}]$$
ただし、pは極数。

②滑り$s$は次式で求めることが出来ます。
$$s=\frac{N_{s}-N}{N_{s}}$$
ただし、$N_{s}[min^{-1}]$は同期速度、$N[min^{-1}]$は回転子の回転速度。

③巻線形誘導電動機の『トルクの比例推移』の<画像1>における関係式。

$$\frac{r_{3}}{s_{3}}=\frac{r_{2}}{s_{2}}=\frac{r_{1}}{s_{1}}$$

であれば同一トルクとなる。

画像1

トルクの比例推移に関する記事は以下でご覧になることが出来ますので、是非ご覧ください。

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解説

まず、この誘導電動機の同期速度$N_{s}[min^{-1}]$を求めると、

$$\begin{align}N_{s}&=\frac{120f}{p}\\&=\frac{120×50}{4}\\&=1500[min^{-1}]\end{align}$$

次に回転速度$N[min^{-1}]$が$1200[min^{-1}]$の時の滑り$s’$を求めましょう。

$$\begin{align}s’&=\frac{N_{s}-N}{N_{s}}\\&=\frac{1500-1200}{1500}\\&=0.2\end{align}$$

問題文中に『全負荷トルクのまま』とあるので、『前提知識③』を用いて解いていきます。問題文中の各相の抵抗値を$r[Ω]$、二次回路に挿入する一相当たりの抵抗を$R[Ω]$、全負荷時の滑り$s_{1}$、条件変化後の滑り$s_{2}$とすると、次の関係式を用いることが出来ます。

$$\frac{r}{s_{1}}=\frac{r+R}{s_{2}}$$

ここに題意の数値と、先ほど求めた滑りの値を代入して挿入する二次抵抗$R[Ω]$を求めます。

$$\frac{0.5}{0.04}=\frac{0.5+R}{0.2}$$

$$R=2.0[Ω]$$

よって答えは(1)となります。

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