【和動・差動と内分巻・外分巻】直流電動機の基礎・構造をイラスト付きで解説!③ ~直巻・複巻~【電験】

皆さんこんにちは!NORIです!

前回はこちらの記事↓

【直流分巻・他励方式について詳しく】
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にて、「直流他励電動機・直流分巻電動機」について説明しました。

今回は残りの二つ、「直流直巻電動機」・「直流複巻電動機」について説明したいと思います。この二つは他の二つとは少し異なった性質を持っていますのでよく理解してください。

直巻について

直巻(ちょくまき)電動機の回路図は↓<画像1>のようになります。

画像1

他励または分巻は界磁巻線と電機子巻線が別々または並列になっていましたが、直巻に関しては直列に接続されています。つまり、界磁巻線と電機子巻線に同じ大きさの電流が流れるので、磁束$Φ$は電機子電流$I_{a}$に比例することになります。

これによって、他励・分巻とは異なった性質を持つこととなります。

回転速度

回路図<画像1>より$E=V-(R_{a}+R_{s})I_{a}$となります。

つまり回転速度$N$は、$$N=\frac{E}{KΦ}=\frac{ V-(R_{a}+R_{s})I_{a} }{KΦ}$$となります。ここで先に説明した通り、界磁巻線と電機子巻線が直列になっているので、磁束$Φ$は$I_{a}$に比例することになります

よって$$N=\frac{ V-(R_{a}+R_{s})I_{a} } {K^”I_{a}}$$となり、直列界磁巻線抵抗$(R_{s})$と電機子巻線抵抗$(R_{a})$が非常に小さいとすると、$$N≒\frac{V}{ K^”I_{a}} $$となります。これより、回転速度は電機子電流に反比例するという関係が導かれました。

これは無負荷運転を行うと、回転速度が非常に高速となり、危険であるということを意味しています。($I_{a}$が非常に小さくなると、$N$が非常に大きくなるということです。)

トルク

トルクに関しても、他励・分巻とは違った特性を持ちます。

まずトルクの式は$$T=KΦI_{a}$$でした。また上記に示したように、$Φ∝I_{a}$の関係があるので、トルクと電機子電流の比例関係は$$T∝I_{a}^{2}$$となります。つまりトルクは電機子電流の二乗に比例します。←大変重要であり、論説で問われたりします。

複巻について

複巻の種類

複巻というのは直巻と分巻の複合型です。

複巻は、起磁力の加わり方によって以下の2種類に分けられます。

  • 直巻と分巻による起磁力が加わるように接続される「和動複巻」
  • 直巻と分巻による起磁力が打ち消されるように接続される「差動複巻」
画像2
画像3

更に、分巻界磁巻線の接続箇所によって以下の2種類に分けることが出来ます。

  • 分巻界磁巻線が電機子巻線に接続される「内分巻」(画像4)
  • 分巻界磁巻線が端子間に接続される「外分巻」(画像5)
画像4
画像5
画像6

ここから少し深堀しますが、文章での理解はなかなか難しいかと思いますのでイラストで表現してみます。(独自イラストですので参考程度にご覧ください。)

内分巻

まず、内分巻を実物に近いイラストで表現すると次のようになります。(以降、画像左の実物に近いイラストは巻線抵抗を省略しています。)

画像7

内分巻を↓画像8のように巻線し、発電機として運転すると次のような電流の流れ方となり、この場合「和動複巻発電機」となります。

画像8

直巻界磁巻線と分巻界磁巻線に流れている電流が同方向となっているので、生じる起磁力は加わることになり「和動」になります。では次に、端子の極性を変えないで、直流電源を接続し電動機としてみましょう。

画像9

すると、分巻界磁巻線に流れる電流以外の電流の方向が変化することになり、「差動複巻電動機」となります。直巻界磁巻線と分巻界磁巻線に流れる電流が逆方向となっているので、起磁力はお互いに打ち消す方向になり「差動」となっている事が分かります。

同様に、外分巻について見てみましょう。

外分巻

外分巻を実物に近いイラストで表現すると次のようになります。

画像10

<画像11>では、「和動複巻発電機」として運転させている様子を表しています。

画像11

では次に、端子の極性を変化させないで直流電源を接続し、電動機として運転させてみましょう。

画像12

すると内分巻と同様に、分巻界磁巻線に流れる電流以外の電流の方向が変化することになります。したがって、分巻界磁巻線と直巻界磁巻線による起磁力がお互いに打ち消される方向になるので、「差動複巻電動機」になることが分かります。巻き方次第で和動にも差動にもなりますので結構複雑ですが、なんとなくイメージをつかんで頂けたかと思います。和動と差動に関しては、「和動」が標準で使用されるようです。

内分巻と外分巻の使い分け

では、内分巻と外分巻でどんな違いがあるのでしょうか。調べてみた結果、次のような使い分けがある様です。

  • 発電機の場合「内分巻」が標準で使用される
  • 電動機の場合「外分巻」が標準で使用される

ここで重要になるのが、分巻界磁巻線に加わる電圧です。この電圧が直巻界磁巻線の電圧降下の影響を受けるかどうかで使い分けがなされています。つまり、「分巻界磁巻線に加わる電圧が直巻界磁巻線の電圧降下の影響を受けないもの」が標準とされているようです。それでは、まずは「内分巻」から見ていきましょう。

画像13

↑<画像13>にて発電機状態を見てみると、誘導起電力$E$が直巻界磁巻線の電圧降下の影響を受けないで分巻界磁巻線に加わっています。一方で電動機状態を見てみましょう。端子電圧$V$が直巻界磁巻線の電圧降下の影響を受けて分巻界磁巻線に加わっています。ということで、内分巻は、直巻界磁巻線の電圧降下の影響を受けない「発電機」での使用に向いているのです。

同様に外分巻も見てみましょう。

画像14

 

発電機状態を見てみると、誘導起電力$E$が直巻界磁巻線の電圧降下の影響を受けて加わっています。一方で電動機状態を見てみると、端子電圧$V$が直巻界磁巻線の電圧降下の影響をうけないで、そのまま分巻界磁巻線に加わっています。ということで、外分巻は、直巻界磁巻線の電圧降下の影響を受けない電動機状態での使用に向いているのです。

和動複巻が一般的である
発電機は「内分巻」が標準である
電動機は「外分巻」が標準である

回転速度

複巻電動機の速度について見てみましょう。ここでは、外分巻の「和動複巻電動機」<再掲:画像2>を例にとって説明します。

<再掲>画像2

 

<再掲:画像2>より、分巻界磁巻線により生じる磁束を$Φ_{f}$、直巻界磁巻線による磁束を$Φ_{s}$とし、回転速度$N$に関する式を立ててみます。$E=V-(R_{a}+R_{s})I_{a}$であり、$N=\frac{E}{K(Φ_{f}+Φ_{s})}$より、 $$N=\frac{ V-(R_{a}+R_{s})I_{a} }{K(Φ_{f}+Φ_{s})}$$となります。

ここで少し戻って、直巻電動機の場合、回転速度は$$N≒\frac{V}{K^{“}I_{a}}$$とあらわされ、無負荷運転($I_{a}$が小さい)とすると速度が非常に大きくなり危険となるのでした。しかし、複巻電動機の場合電機子電流が小さくなっても($Φ_{s}$が小さくなっても)、分巻界磁巻線による磁束$Φ_{f}$が存在するおかげで、直巻のような危険速度にはなりません。これで安心ですね。

四つの方式の「回転速度又はトルクと電機子電流」のグラフ

ここで前回から学んできた「分巻・他励・直巻・複巻」の4パターンの「”回転速度又はトルク”と”電機子電流”」の関係をグラフで見比べてみましょう。

 

他励と分巻の特性はすごく似ていますが、両者ともに終盤にかけてトルクの傾きが小さくなっています。これは、”電機子反作用“という現象によって起こっています。

【電機子反作用について詳しく】
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直巻電動機の回転速度は、先ほど説明した通り、無負荷になると急上昇することが分かります。トルクに関しても、電機子電流の二乗に比例した傾きになっていることが分かります。


複巻電動機は「直巻と分巻の複合」ということで、グラフに関しても直巻と分巻の中間のようになっていることが分かります。

過去には「どのグラフがどの励磁方式か」ということを問われた問題もありますので、しっかり理解しておくと良いかと思います。

参考文献

  • 野中作太郎 『電気機器[Ⅰ]』 森北出版株式会社

直流機をより深く学ぶためのオススメの本・記事

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まとめ

二記事にわたり、「他励・分巻・直巻・複巻」の四種類の方式を説明しました。電験三種機械科目では、直流機は頻出となっています。今回は”電動機”の説明をしましたが、発電機も概要は同じです。ただ少し計算の仕方が異なります。次回は直流発電機の概要を簡単に説明したところで、実際に計算問題を解いてみましょう。

では、ありがとうございました!

電気系の情報発信をしています。