【DCモーター】直流電動機の基礎・構造をイラスト付きで解説!② ~他励・分巻~【電験】 

皆さんこんにちは!NORIです!

前回は下リンクの記事にて、直流電動機の基本構造を説明しました。ここで少し復習ですが、直流電動機の固定子磁極の役割は何でしたでしょうか?

正解は「磁界を発生させること」になります。忘れてしまった方は是非下記リンクよりご覧ください。

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なぜ磁極の復習をしたのかというと、直流電動機は磁極の励磁方式によってさまざまな種類が存在するからです。

まず磁極そのものには、「永久磁石」と「電磁石」の二種類が存在します。永久磁石の場合、磁極が発する磁束はほぼ一定で変化させることはできません。しかし電磁石の場合、固定子巻線に流す電流の大きさを変えることで、発する磁束も変化させることが出来ます。この時、固定子巻線に電流を流すために巻線に電圧を加えるのですが、その加え方によって種類が分けられます。

具体的には、

「他励・分巻・直巻・複巻」

の四種類です。

四つすべてを当記事で書くと長くなってしまうので、二つの記事に分けてこの四種類をそれぞれ説明していきたいと思います。今回はタイトルにもあるように「他励」と「分巻」です。

では、それぞれの方式に入る前に上にあげた四方式の回路図を一度見てしまいましょう。

<画像1>

<画像1>を見ていただければ、なんとなく名前と回路図が一致しているのが分かります。

直流電動機計算における超重要公式

直流電動機計算において、大変重要な公式が二つあります。

磁極が発する磁束を$φ[Wb]$、電動機の逆起電力を$E[V]$、回転速度を$N[min^{-1}]$、トルクを$T[N・m]$、電機子電流を$I_{a}[A]$、比例定数を$K$とすると、以下の関係式が成り立ちます。

逆起電力を求める式
$$E=KΦN[V]$$
トルクを求める式
$$ T=KΦI_{a}[N・m]$$
 

この二式は大変重要な式ですので必ず覚えてください。この式の詳細は別途記事を作成したいと思います。

他励(たれい)

直流他励電動機の回路図は↓<画像2>のようになります。

<画像2>
 

<画像2>を見ると、励磁電流($I_{f}$)を供給する電源と電機子電流$(I_{a})$を供給する電源が別々となっていることが分かります。つまり”他の電源を用いる”ので「励」なのです。

まず逆起電力$E$について説明したいと思います。

電機子巻線は電機子巻線に流れる電機子電流$I_{a}$と磁束$Φ$により、電磁力が発生し回転します。この回転方向は「フレミングの左手の法則」により知ることが出来ます。

すると同時に、電機子巻線が磁束を横切り「フレミングの右手の法則」の方向に起電力が発生します。これが逆起電力になります。もう一度式を書くと逆起電力は、$$E=KΦN[V](Kは比例定数)$$です。

回転数が高いほど、もしくは、磁束が多いほど逆起電力は大きくなります。

「フレミングの法則」に関しては下リンクを参照してください。↓

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回転速度$N[min^{-1}]$の式

電験三種では「電機子電流(負荷)が変化すると、電動機の回転速度はどうなるか?」ということが問われることがあります。したがって、電機子電流と回転速度の関係を求める式が必要になります。

ということでここからは、式$$E=KΦN[V]・・・①$$を用いて回転速度$N$と電機子電流$I_{a}$の関係を導きましょう。ここでもう一度<画像2>を持ってきます。↓

<画像2>

まず<画像2>中の回路図の右側閉回路より、$$E=V-R_{a}I_{a}$$となります。次に①式を$N$を求める形に変形しましょう。すると、$$N=\frac{E}{KΦ}[min^{-1}]・・・①^{‘}$$となります。最後に$E=V-R_{a}I_{a}$を$①^{‘}$に代入して、

$$N=\frac{V-R_{a}I_{a}}{KΦ}[min^{-1}]$$

となり完成です。この式変形はよく用いますので出来るようにしてください

ここで 冒頭の「電機子電流(負荷)が増加すると、電動機の回転速度はどうなるか?」 という問いに答えてみます。

電機子電流$I_{a}$が増加すると、分子$$V-R_{a}I_{a}$$は減少し、回転速度$N$は減少します。しかし、減少といってもほんの少ししか減少しません。これは電機子巻線抵抗$R_{a}$が非常に小さいことが原因です。$R_{a}$が小さいと$R_{a}I_{a}$も小さくなり、 $$V-R_{a}I_{a}$$はほんの少ししか減少しない。すなわち、直流他励電動機の回転速度はほぼ一定である。ということもできます。

トルク

トルクに関しては簡単です。$T=KΦI_{a}$なので、トルクは電機子電流と磁束に比例します。

分巻(ぶんまき)

直流分巻電動機の回路図は↓<画像3>のようになります。

<画像3>
 

<画像3>を見てみると、励磁電流$I_{f}$も電機子電流$I_{a}$も一つの電源から供給されていることが分かります。

これが直流他励電動機との違いになります。

回転速度

ここでも他励の場合と同様に、回転速度$N$を求める式を導出しましょう。では<画像3>をもう一度呼び出します。

<画像3>

まず右側閉回路を見てみると、回路図より$$E=V-R_{a}I_{a}$$となります。ここまでは他励と同じです。ついでにここでもう1ステップ、$$I_{a}=I-I_{f}$$が入ってきます。これを代入すると、$$E=V-R_{a}(I-I_{f})$$となります。よって、回転数$N$は、$$N=\frac{ V-R_{a}(I-I_{f}) }{KΦ}$$となります。

「分巻」に関しても、「電機子電流(負荷)が増加すると、回転速度はどうなりますか?」 という問いに答えると、他励と同様にほんの少しだけ減少することなります。理由は他励の場合と同じで「電機子巻線抵抗が非常に小さいから」です。

ここまでで、他励と分巻は「電機子電流(負荷)の変化によって、回転速度はほんの少しだけ変化する」と分かりました。”ほんの少し”の部分を一定とみなして、他励電動機や分巻電動機を「定速度電動機」と言ったりします。定速度電動機も電験三種でよく出題されますので要チェックです!

トルク

他励の場合と同様にトルクは電機子電流に比例します。

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内訳としては、DCモータ絡みのページが400ページ強。電磁気に関するページが60ページほど。となっています。電験3種どころか2種・1種でも出題されないような、どちらかというと「モータ開発者・使用者」等の実務者向けの本であるように、個人的には思います。したがって<上級者向け>としました。

それでも私のような人間にもある程度理解できるよう書いてあるのが本書の素晴らしい点であると感じています。

本自体の重厚感・紙質にもこだわりぬかれた「高級な贅沢品」であると感じました。

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まとめ

  • 他励も分巻も、負荷の変動(電機子電流の変動)があっても回転速度はほぼ一定。これらは「定速度電動機」と呼ばれる。
  • 他励も分巻も、トルクは電機子電流に比例する。

定速度電動機は必ず覚えてくださいね★

では次回は今回紹介した二種類とは違い、一風変わった「直巻」「複巻」を説明したいと思います。では!!

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