<H25年度(2013年)問6>  三相同期発電機の同期インピーダンスを求める計算問題(解説あり)

問題

定格電圧$6.6[kV]$、定格電流$1050[A]$の三相同期発電機がある。この発電機の短絡比は$1.25$である。
この発電機の同期インピーダンス[Ω]の値として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)0.80 (2)2.90 (3)4.54 (4)5.03 (5)7.86

解答を見る
(2)

前提知識

①無負荷飽和曲線と三相短絡曲線

画像1

無負荷飽和曲線と三相短絡曲線』についての詳細な記事を以下に貼りますので是非ご覧ください。

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②短絡比の式。

$$短絡比=\frac{無負荷飽和曲線(開放時)で定格電圧が発生するときの励磁電流}{短絡曲線(短絡時)で定格電流が流れる時の励磁電流}$$
すなわち<画像1>において、
$$\begin{align}K&=\frac{I_{f1}}{I_{f2}}\\&=\frac{I_{s}}{I_{n}}\end{align}$$

解説

問題文より、短絡比$K=1.25$、定格電流$I_{n}=1050[A]$であるので、短絡電流$I_{s}$は、

$$\begin{align}I_{s}&=1.25×1050\\&=1312.5[A]\end{align}$$となります。ここから『前提知識①』の「無負荷飽和曲線と三相短絡曲線」グラフと1相分等価回路を合わせて、もう一度見てみましょう。

画像1 再掲
画像2

無負荷飽和曲線というのは、『定格速度で無負荷運転中の同期発電機の界磁電流と端子電圧の関係』ということで、<画像2>のように、端子側が開放状態にあると考えてください。開放状態ということは、電流は流れませんので電圧降下も生じません。したがって端子電圧と誘導起電力が等しくなります。

すなわち、グラフ<画像1>にて縦軸上の$V_{n}$と、それに対応する界磁電流$I_{f1}$というのは、『界磁電流$I_{f1}$で誘導起電力$E$が$V_{n}$』であるということになります。

この界磁電流が$I_{f1}$のときに端子を短絡したときの電流が、短絡電流$I_{s}$となります。その状態が<画像3>となります。

画像3

題意より、1相分の定格電圧$V_{n}=\frac{6600}{\sqrt{3}}[V]$、先ほど求めた短絡電流$I_{s}=1312.5[A]$なので、<画像3>の下の回路図より、

$$Z≒X_{s}=\frac{\frac{6600}{\sqrt{3}}}{1312.5}=2.90[Ω]$$

よって答えは(2)となります。

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