【電機子反作用が分かる!】同期発電機の電機子反作用と自己励磁現象とは【同期機】

電機子反作用とは?

電機子反作用とは、

界磁電流が作る磁束に、電機子巻線の作る磁束が合成され磁束の歪みが生じる事
を言います。
文章ですぐに理解できる方は中々いないかと思いますので「同期発電機の原理」から説明していきたいと思います。

同期発電機の原理

同期発電機は、固定子(ステータ)と回転子(ロータ)に大別できます。さらに固定子は「固定子鉄心」と「固定子巻線(電機子巻線)」、界磁式の回転子は「回転子鉄心」と「界磁巻線」に分けることが出来ます。↓参照<画像1>

画像1

電磁石又は永久磁石である回転子を、何らかの外部からの機械的入力によって回転させると、固定子巻線(電機子巻線)に誘導起電力が発生します。

これが「同期発電機」の発電原理です。

これを踏まえたうえで、「電機子反作用の概要」を学んでいきましょう。

電機子反作用(力率1)

上の見出しに「電機子反作用(力率1)」と書きました。なぜ(力率1)と書いたのかというと、力率1・遅れ・進みによって界磁磁束に起こる作用が変わってくるからです。

ここからは<画像1>の一部を拡大した<画像2>をベースに用います。

画像2

力率1の時、固定子巻線(電機子巻線)に発生する電流は、フレミングの右手の法則により<画像3>のようになります。(※電機子巻線に流れる電流は大きさが最大になる瞬間を切り取っています。)

画像3

この時の、電機子電流が作る磁界(右ねじの法則)と、界磁電流が作る磁界を見比べてみましょう。

左側では界磁電流による磁界を強め、右側では弱めています。↓参照<画像4>

画像4

言い換えると、回転方向側では界磁電流による磁界を弱め、逆側では強めるとなります。今はN極を切り取っていますが、S極でも同様の事が言えます。

この界磁電流による磁界に働く作用を「交さ磁化作用」と言います。

遅れ力率

次に、発電機の負荷が「遅れ力率0」の場合にどうなるか、<画像5>を見てみましょう。

画像5

遅れ力率では、電機子誘導電圧にくらべて、電機子電流が遅れ、<画像5>のようになります。この場合も電機子電流による磁界と界磁電流による磁界を見比べてみると、界磁電流による磁界は弱められていることが分かると思います。

これを「減磁作用」と言います。減磁作用が起こると、発電機の誘導起電力は減少します。

前回の記事で、三相短絡曲線の説明をした際に、「電機子反作用が原因である」と書きましたが、今回で明らかになりました。短絡時には遅れ電流により「減磁作用」が働き、界磁電流による磁界が弱められ、短絡電流は飽和しないのです。

進み力率

最後に発電機の負荷が「進み力率0」の場合を見てみましょう。↓<画像6>

画像6

電機子電流は電機子誘導起電力に比べて進みになるので、<画像6>のようになります。

この場合も同様に、電機子電流による磁界と、界磁電流による磁界を見比べてみると、両者ともに同一方向を向いています。この場合界磁電流による磁界は強められることになります。

これを「増磁作用」と言います。増磁作用が起こると、界磁電流による磁界が強くなるので、誘導起電力は大きくなります。

この増磁作用は「同期発電機の自己励磁現象」を扱う際に大変重要となりますのでしっかり理解してください。

では次に、「自己励磁現象」を説明していきます。

自己励磁現象

自己励磁現象を文章で書くと、

回転している同期発電機に、無励磁のままで容量性負荷を接続すると、回転子の”残留磁気”が存在した場合、誘導起電力により進み電流が流れる。電機子巻線に進み電流が流れると「増磁作用」によって発電機端子電圧が上昇し、さらに進み電流が増加する。進み電流が増加すると、さらに増磁作用により端子電圧が上昇し、端子電圧はある極限値まで上昇する。これを自己励磁現象という。

となります。初見で一発で理解できた方は凄いです(^^)/。私は無理でした。順番に説明します。

残留磁気

残留磁気というのは、回転子に残っている磁気の事を言います。界磁式の回転子の場合、界磁巻線に界磁電流を流すと回転子は磁化されますが、この界磁電流を取り除いても、回転子に磁気がわずかに残ります。

これが「残留磁気」です。イメージはつきやすいかと思います。

自己励磁現象のグラフ

自己励磁現象は<画像7>のようなグラフを用いると、非常に理解しやすいです。

画像7

直線Mというのは、容量性負荷による進み電流と端子電圧の関係を示したグラフになります。このグラフの傾きは、発電機より負荷側の静電容量$c$に反比例します。つまり静電容量が大きいほど傾きが小くなるor静電容量が小さいほど傾きが大きくなります。

そして、同期発電機の端子電圧は、無負荷飽和曲線と直線Mの交点まで上昇します。その上昇の過程を<画像8>に示します。

画像8

図中の横向きの→は電機子電流(進み)の増加を表し、上向きの↑は、進み電流が流れることによる「増磁作用」による端子電圧上昇を示しています。

少しまとめますと、

  1. 無励磁で回転中の同期発電機に容量性負荷が接続される。
  2. 同期発電機の残留磁気により端子電圧が発生し、電機子電流(進み)が流れる。
  3. 同期発電機の界磁電流による磁界が「増磁作用」によって強められる。
  4. 端子電圧が増加することで、電機子電流(進み)がさらに増加。
  5. この➂④を交点に達するまで繰り返す。

となります。この時端子電圧は交点まで上昇しますが、この点の端子電圧が高すぎると発電機が絶縁破壊を起こす恐れがあるので注意が必要です。

では、この交点の電圧を低くするにはどうすればいいのかというと、直線Mの傾きを大きくしてあげれば良いのです。↓<画像9>参照

画像9

傾きを大きくしたことで($M_{1}→M_{2}$)、端子電圧の交点が低いところに移動しました。

前のほうにも書きましたが、この直線Mの傾きは静電容量$c$に反比例します。つまり交点での電圧を下げたければ<画像9>のように傾きを大きくしてあげれば良いですね($M_{1}⇒M_{2}$)。つまり対策としては、静電容量が小さくなるような対策を施せば良いのです。

では「自己励磁現象」対策を挙げます。

  1. 変圧器やリアクトルを接続することで、充電電流を抑制する。
  2. 発電機を並列運転することで、一台当たりの充電電流を抑制する。
  3. 短絡比の大きい(同期インピーダンスの小さい)発電機を使用する。
  4. 発電機に自動電圧調整器を使用する。

といった感じになります。

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同期電動機の電機子反作用とまとめ

今回は、同期”発電機”の電機子反作用自己励磁現象について書きました。

ここでもう一つ覚えておいてほしいのが、「同期”電動機”の電機子反作用は、発電機の場合と逆になる」ということです。表にしてまとめてみましょう。

<電機子反作用>
同期発電機 同期電動機
力率1 交さ磁化作用 交さ磁化作用
遅れ力率 減磁作用 増磁作用
進み力率 増磁作用 減磁作用

同期発電機の場合さえ覚えていれば、同期電動機の場合も逆になるだけですのですぐにわかります。

自己励磁現象に関しては、電験二種二次試験レベルでは記述できるようになる必要があります。三種の方も論説で出題された場合に答えられるようにしっかり理解しておきましょう。

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参考文献

  • 電気学会「電気工学ハンドブック 第7版」
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