- 1 H21年度(2009年)問15 誘導電動機のトルク・効率を求める計算問題
- 2 H22年度(2010年)問4 巻線形誘導電動機のトルクの比例推移に関する計算問題
- 3 H24年度(2012年)問4 三相誘導電動機の効率に関する計算問題
- 4 H25年度(2013年)問4 三相巻線形誘導電動機に関する計算問題
- 5 H26年度(2014年)問4 三相かご形誘導電動機に関する計算問題
- 6 H27年度(2015年)問15 三相巻線形誘導電動機に関する計算問題
- 7 H28年度(2016年)問4 かご形三相誘導電動機に関する計算問題
- 8 H29年度(2017年)問15 三相誘導電動機に関する計算問題
- 9 H30年度(2018年)問3 三相かご形誘導電動機に関する計算問題
- 10 R元年度(2019年)問3 誘導電動機の効率に関する計算問題
- 11 R2年度(2020年)問15 三相誘導電動機の二次入力・出力に関する計算問題
- 12 誘導機関連記事&オススメの書籍紹介
H21年度(2009年)問15 誘導電動機のトルク・効率を求める計算問題
定格出力15[kW]、定格電圧220[V]、定格周波数60[Hz]、6極の三相誘導電動機がある。この電動機を定格電圧、定格周波数の三相電源に接続して定格出力で運転すると、滑りが5[%]であった。機械損及び鉄損は無視できるものとして、次の(a)及び(b)に答えよ。
(a)この時の発生トルク[N・m]の値として、最も近いのは次のうちどれか。
(1)114 (2)119 (3)126 (4)239 (5)251
(b)この電動機の発生トルクが上記(a)の$\frac{1}{2}$となったときに、一次銅損は250[W]であった。このときの効率[%]の値として、最も近いのは次のうちどれか。ただし、発生トルクと滑りの関係は比例するものとする。
(1)92.1 (2)94.0 (3)94.5 (4)95.5 (5)96.9
- 解答を見る
- (a)・・・(3)
(b)・・・(3)
前提知識
①電動機のトルク$T[N・m]$は次式で表されます。
$$T=\frac{P}{ω}[N・m]$$
ただし、$P[W]$は電動機出力、$ω[rad/s]$は回転角速度。
②回転角速度$ω[rad/s]$は次の式で表されます。
③電動機の回転速度$N[min^{-1}]$は次の式で表されます。
$$N=\frac{120f}{p}(1-s)[min^{-1}]$$
ただし、$f[Hz]$は電源周波数、$p$は極数、$s$は滑り。
④電動機の二次入力、二次銅損、出力の間には次のような関係があります。
解説
(a)
題意より、定格出力$P[W]$は、
$$P=15×10^{3}[W]$$
電動機の回転速度$N[min^{-1}]$を求めると、
$$\begin{align}N&=\frac{120f}{p}(1-s)\\&=\frac{120×60}{6}(1-0.05)\\&=1140[min^{-1}]\end{align}$$
電動機の回転角速度$ω[rad/s]$を求めると、
$$\begin{align}ω&=\frac{2πN}{60}\\&=\frac{2π×1140}{60}\\&=119.4[rad/s]\end{align}$$
よって、電動機のトルク$T[N・m]$を求めると、
$$\begin{align}T&=\frac{P}{ω}\\&=\frac{15×10^{3}}{119.4}\\&=125.6[N・m]\\&≒126[N・m]\end{align}$$
よって(a)の答えは(3)となります。
(b)
H22年度(2010年)問4 巻線形誘導電動機のトルクの比例推移に関する計算問題
極数4で50[$Hz$]用の巻線形三相誘導電動機があり、全負荷時の滑りは4[%]である。全負荷トルクのまま、この電動機の回転速度を1200[$min^{-1}$]にするために、二次回路に挿入する一相当たりの抵抗[Ω]の値として、最も近いのは次のうちどれか。
ただし、巻線形三相誘導電動機の二次巻線は星形(Y)結線であり、各相の抵抗値は0.5[Ω]とする。
(1)2.0 (2)2.5 (3)3.0 (4)7.0 (5)7.5
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- (1)
前提知識
①誘導電動機の回転磁界の回転速度(以後、同期速度)$N_{s}[min^{-1}]$は、次式で表されます。
ただし、pは極数。
ただし、$N_{s}[min^{-1}]$は同期速度、$N[min^{-1}]$は回転子の回転速度。
$$\frac{r_{3}}{s_{3}}=\frac{r_{2}}{s_{2}}=\frac{r_{1}}{s_{1}}$$
であれば同一トルクとなる。
トルクの比例推移に関する記事は以下でご覧になることが出来ますので、是非ご覧ください。
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解説
まず、この誘導電動機の同期速度$N_{s}[min^{-1}]$を求めると、
$$\begin{align}N_{s}&=\frac{120f}{p}\\&=\frac{120×50}{4}\\&=1500[min^{-1}]\end{align}$$
次に回転速度$N[min^{-1}]$が$1200[min^{-1}]$の時の滑り$s’$を求めましょう。
$$\begin{align}s’&=\frac{N_{s}-N}{N_{s}}\\&=\frac{1500-1200}{1500}\\&=0.2\end{align}$$
問題文中に『全負荷トルクのまま』とあるので、『前提知識③』を用いて解いていきます。問題文中の各相の抵抗値を$r[Ω]$、二次回路に挿入する一相当たりの抵抗を$R[Ω]$、全負荷時の滑り$s_{1}$、条件変化後の滑り$s_{2}$とすると、次の関係式を用いることが出来ます。
$$\frac{r}{s_{1}}=\frac{r+R}{s_{2}}$$
ここに題意の数値と、先ほど求めた滑りの値を代入して挿入する二次抵抗$R[Ω]$を求めます。
$$\frac{0.5}{0.04}=\frac{0.5+R}{0.2}$$
$$R=2.0[Ω]$$
よって答えは(1)となります。
H24年度(2012年)問4 三相誘導電動機の効率に関する計算問題
三相誘導電動機があり、一次巻線抵抗が$15[Ω]$、一次側に換算した二次巻線抵抗が$9[Ω]$、滑りが$0.1$のとき、効率$[\%]$の値として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、励磁電流は無視できるものとし、損失は、一次巻線による銅損と二次巻線による銅損しか存在しないものとする。
(1)75 (2)77 (3)79 (4)82 (5)85
- 解答を見る
- (2)
前提知識
①誘導電動機の1相分等価回路(一次側換算)は以下のようになります。
等価回路に関する詳しい内容は、以下の記事で解説していますので是非ご覧ください。
誘導機の重要公式 回転磁界の回転速度(同期速度) 同期速度の式は、 $$N_{s}=\frac{120f}{p}[min^{-1}]$$ ※f:電源周波数 p:[…]
解説
初めてこの問題をご覧になられたとき、与えられている数値の少なさに驚かれた方もいらっしゃるかと思います。私もそうでした(笑)。しかし、冷静になれば難しい問題ではありません。では、解いていきましょう。
まずは『前提知識①』で紹介した1相分等価回路を問題文に合うように直してみましょう。題意より、今回考慮する損失は一次銅損と二次銅損のみであり、励磁電流も鉄損も無視することが出来ると読み取ることが出来ます。つまり、一次巻線抵抗と二次巻線抵抗分のみを示した等価回路で良いのです。
<画像2>のようになってしまえば、もう答えまでの道筋が見えた方もいらっしゃるかと思います。
では、この電動機の1相分の一次入力$P_{1}[W]$を求めると、
$$\begin{align}P_{1}&=(r_{1}+r_{2}’+\frac{1-s}{s}r_{2}’)×I_{1}^{2}\\&=(15+9+\frac{1-0.1}{0.1}×9)×I_{1}^{2}\\&=105I_{1}^{2}[W]\end{align}$$
次にこの電動機の1相分の出力$P_{o}[W]$を求めます。
$$\begin{align}P_{o}&=\frac{1-s}{s}r_{2}’×I_{1}^{2}\\&=\frac{1-0.1}{0.1}×9×I_{1}^{2}\\&=81I_{1}^{2}[W]\end{align}$$
最後に、1相分の1次入力と1相分の出力より、効率$η[\%]$を求めましょう。
$$\begin{align}η[\%]&=\frac{P_{o}}{P_{1}}×100\\&=\frac{81I_{1}^{2}}{105I_{1}^{2}}×100\\&≒77[\%]\end{align}$$
よって答えは(2)となります。
H25年度(2013年)問4 三相巻線形誘導電動機に関する計算問題
二次電流一定(トルクがほぼ一定の負荷条件)で運転している三相巻線形誘導電動機がある。滑り$0.01$で定格運転しているときに、二次回路の抵抗を大きくしたところ、二次回路の損失は30倍に増加した。電動機の出力は定格出力の何$[\%]$になったか。最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1)10 (2)30 (3)50 (4)70 (5)90
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- (4)
前提知識
①二次入力$P_{2}$:二次銅損$P_{c2}$:出力$P_{o}$の関係式
②トルクと二次入力の関係
$$P_{o}=ω_{s}(1-s)×T$$
『前提知識①』より、
$$(1-s)P_{2}=ω_{s}(1-s)×T$$
$$P_{2}=ω_{s}T$$
$ω_{s}$は同期速度であり一定なので、トルクが一定の時、二次入力も一定となる。
解説
『前提知識②』より、トルクが一定なので二次入力$P_{2}[W]$も一定となります。二次抵抗”変化前”の二次回路損失を$P_{c2}[W]$を求めると、
$$\begin{align}P_{c2}&=sP_{2}\\&=0.01P_{2}[W]\end{align}$$
次に二次抵抗変化後の滑りを$s’$とすると、二次回路損失$P_{c2}'[W]$は、
$$P_{c2}’=s’P_{2}[W]$$
題意より、『二次回路の抵抗を大きくしたところ、二次回路の損失は30倍に増加した』とあるので、次の関係式が成り立ちます。
$$P_{c2}’=30P_{c2}$$
よって変化後の滑り$s’$は、
$$P_{c2}’=30P_{c2}$$
$$s’P_{2}=30×0.01×P_{2}$$
$$s’=0.3$$
二次抵抗変化前の出力(定格出力)$P_{o}[W]$は、
$$\begin{align}P_{o}&=(1-s)P_{2}\\&=(1-0.01)P_{2}\\&=0.99P_{2}[W]\end{align}$$
二次抵抗変化後の出力$P_{o}'[W]$は、
$$\begin{align}P_{o}’&=(1-s’)P_{2}\\&=(1-0.3)P_{2}\\&=0.7P_{2}[W]\end{align}$$
題意の問に答えると、
$$\begin{align}\frac{P_{o}’}{P_{o}}×100&=\frac{0.7P_{2}}{0.99P_{2}}×100\\&=70.7[\%]\end{align}$$
よって答えは(4)となります。
H26年度(2014年)問4 三相かご形誘導電動機に関する計算問題
一般的な三相かご形誘導電動機がある。
出力が大きい定格運転条件では、誘導機の等価回路の電流は、「二次電流≫励磁電流」であるから、励磁回路を省略しても特性をほぼ表現できる。さらに、「二次抵抗による電圧降下≫その他の電圧降下」となるので、一次抵抗と漏れリアクタンスを省略しても、おおよその特性を検討できる。
このような電動機でトルク一定負荷の場合に、電流$100[A]$の定格運転から電源電圧と周波数を共に$10\%$下げて回転速度を少し下げた。このときの電動機の電流の値$[A]$として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1)80 (2)90 (3)100 (4)110 (5)120
- 解答を見る
- (3)
前提知識
①誘導電動機の1相分等価回路
②誘導電動機の出力、回転角速度、トルクの関係式
ただし、$ω[rad/s]$は回転子の回転角速度、$T[N・m]$はトルク。
解説
問題文より、励磁回路と一次抵抗、漏れリアクタンスを省略してもおおよその特性を検討できると書いてあるので、『前提知識①』の等価回路を簡略化してみましょう。
トルク$T$を求める式を書いてみると、
$$T=\frac{P_{o}}{ω}・・・①$$
出力$P_{o}$を求める式を書くと、
$$\begin{align}P_{o}&=3×\frac{1-s}{s}×r_{2}’×I^{2}\\&=3×\frac{1-s}{s}×r_{2}’×I×\frac{V_{1}}{\frac{r_{2}’}{s}}\\&=3×(1-s)×I×V_{1}[W]・・・②\end{align}$$
回転角速度$ω[rad/s]$を求める式を書くと、
$$\begin{align}ω&=\frac{2π}{60}×\frac{120f}{p}(1-s)\\&=\frac{4πf}{p}(1-s)[rad/s]・・・③\end{align}$$
①に②、③を代入すると、
$$\begin{align}T&=\frac{3×(1-s)×I×V_{1}}{\frac{4πf}{p}(1-s)}\\&=\frac{p}{4πf}×3IV_{1}[N・m]\end{align}$$
電流$I$を求める式に変形すると、
$$I=\frac{4πfT}{3pV_{1}}$$
この式を見ると、題意よりトルクが一定なので、変数は周波数$f$と電源電圧$V_{1}$のみとなり、題意のように$f$と$V_{1}$を同じ割合減少させてもトルクは一定となります。つまり電流は変化なしの100[A]となります。
よって答えは(3)となります。
H27年度(2015年)問15 三相巻線形誘導電動機に関する計算問題
定格出力15kW、定格電圧220V、定格周波数60Hz、6極の三相巻線形誘導電動機がある。二次巻線は星形(Y)結線でスリップリングを通して短絡されており、各相の抵抗値は0.5Ωである。この電動機を定格電圧、定格周波数の電源に接続して定格出力(このときの負荷トルクを$T_{n}$とする)で運転しているときの滑りは5%であった。
計算に当たっては、L形簡易等価回路を採用し、機械損及び鉄損は無視できるものとして、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
(a)速度を変えるために、この電動機の二次回路の各相に0.2Ωの抵抗を直列に挿入し、上記と同様に定格電圧、定格周波数の電源に接続して上記と同じ負荷トルク$T_{n}$で運転した。このとき滑りの値[%]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1)3.0 (2)3.6 (3)5.0 (4)7.0 (5)10.0
(b)電動機の二次回路の各相に上記(a)と同様に0.2Ωの抵抗を直列に挿入したままで、電源の周波数を変えずに電圧だけを200Vに変更したところ、ある負荷トルクで安定に運転した。このときの滑りは上記(a)と同じであった。
この安定に運転したときの負荷トルクの値[N・m]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1)99 (2)104 (3)106 (4)109 (5)114
- 解答を見る
- (a)・・・(4)
(b)・・・(2)
前提知識
①トルクの比例推移における関係式
$$\frac{r_{1}}{s_{1}}=\frac{r_{2}}{s_{2}}=\frac{r_{3}}{s_{3}}$$
②誘導電動機のL形等価回路
解説
(a)
問題文中に、電源電圧、周波数が一定でトルクが変化しないとあるので、「トルクの比例推移」を用います。二次巻線の各相の抵抗を$r[Ω]$、接続する抵抗を$R[Ω]$、変化前の滑りを$s$、変化後の滑りを$s’$とすると、次のような関係式が成り立ちます。
$$\frac{r}{s}=\frac{r+R}{s’}$$
数値を代入し、変化後の滑り$s’$を求めると、
$$\begin{align}s’&=\frac{r+R}{r}×s\\&=\frac{0.5+0.2}{0.5}×0.05\\&=0.07\end{align}$$
$$0.07⇒7[\%]$$
よって(a)の答えは(4)となります。
(b)
『前提知識②』の<画像2>を再掲します。
この等価回路より、電動機のトルク$T[N・m]$に関する式を導出してみましょう。
$$T=\frac{P_{o}}{ω}[N・m]・・・①$$
電動機の出力を求めると、
$$P_{o}=3×\frac{1-s}{s}r_{2}’×I^{2}・・・②$$
電流$I[A]$は、
$$I=\frac{V_{1}}{\sqrt{(r_{1}+\frac{r_{2}’}{s})^{2}+(x_{1}+x_{2}’)^{2}}}$$
なので、これを②に代入すると、
$$P_{o}=\frac{3×\frac{1-s}{s}r_{2}’×V_{1}^{2}}{(r_{1}+\frac{r_{2}’}{s})^{2}+(x_{1}+x_{2}’)^{2}}・・・③$$
となります。次に電動機の回転角速度$ω[rad/s]$を求めると
$$\begin{align}ω&=\frac{2πN}{60}\\&=\frac{2π}{60}×\frac{120f}{p}(1-s)\\&=\frac{4πf}{p}(1-s)・・・④\end{align}$$
となります。③、④を①のトルクを求める式に代入すると、
$$\begin{align}T&=\frac{\frac{3×\frac{1-s}{s}r_{2}’×V_{1}^{2}}{(r_{1}+\frac{r_{2}’}{s})^{2}+(x_{1}+x_{2}’)^{2}}}{\frac{4πf}{p}(1-s)}\\&=\frac{p}{4πf}×\frac{3×\frac{r_{2}’}{s}×V_{1}^{2}}{(r_{1}+\frac{r_{2}’}{s})^{2}+(x_{1}+x_{2}’)^{2}}・・・④\end{align}$$
式が導出できたところで、条件の確認を行いましょう。
条件2:周波数を変化させずに電圧のみを変化させる。
となります。ここで④式を見ていただくと、この式の中の変数は上の二つの条件より、電源電圧$V_{1}$のみであるということが分かります。ということは、「トルク$T$は電源電圧$V_{1}$の2乗に比例する」ことのみを利用して、電源電圧変化後のトルクを求めればよいのです。ということで、電源電圧変化前の定格負荷トルク$T_{n}[N・m]$も求めると、
$$\begin{align}T_{n}&=\frac{P_{n}}{ω}\\&=\frac{15000}{\frac{2π}{60}×\frac{120×60}{6}(1-0.05)}\\&=125.67[N・m]\end{align}$$
(a)では、トルクの比例推移を用いたので電圧変化前の負荷トルクも定格負荷トルクと同様です。したがって「トルクは電源電圧の2乗に比例する」を用いると、電源電圧変化後のトルク$T'[N・m]$は、
$$\begin{align}T’&=T_{n}×(\frac{V_{1}’}{V_{1}})^{2}\\&=125.67×(\frac{200}{220})^{2}\\&=103.85\\&≒104[N・m]\end{align}$$
よって(b)の答えは(2)となります。
補足
今回の問題は、途中で何がどうなっているのか分かりにくくなりやすいかと思います。なので、補足として<画像3>に解答フローを設けました。是非ご覧ください。
H28年度(2016年)問4 かご形三相誘導電動機に関する計算問題
定格周波数$50Hz$、$6$極のかご形三相誘導電動機があり、トルク$200N・m$、機械出力$20kW$で定格運転している。このときの二次入力(同期ワット)の値$[kW]$として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1)19 (2)20 (3)21 (4)25 (5)27
- 解答を見る
- (3)
前提知識
①電動機の機械出力$P_{o}[W]$を求める式
ただし、$ω[rad/s]$は回転子の回転角速度、$T[N・m]$は電動機のトルク。
解説
『前提知識①』より、電動機の回転角速度$ω[rad/s]$を求めましょう。
$$\begin{align}ω&=\frac{P_{o}}{T}\\&=\frac{20×10^{3}}{20}\\&=100[rad/s]\end{align}$$
次に、電動機の同期回転角速度(回転磁界の回転角速度)$ω_{s}[rad/s]$を求めましょう。
$$\begin{align}ω_{s}&=\frac{2πN_{s}}{60}\\&=\frac{2π}{60}×\frac{120f}{p}\\&=\frac{2π}{60}×\frac{120×50}{6}\\&=104.7[rad/s]\end{align}$$
$ω_{s}$と$ω$より、すべりを求めると、
$$\begin{align}s&=\frac{ω_{s}-ω}{ω_{s}}\\&=\frac{104.7-100}{104.7}\\&=0.04489\end{align}$$
ここで『前提知識②』より、電動機の二次入力$P_{2}[kW]$を求めると、
$$\begin{align}P_{2}&=\frac{1}{1-s}×P_{o}\\&=\frac{1}{1-0.04489}×20\\&=20.93\\&≒21[kW]\end{align}$$
よって答えは(3)となります。
H29年度(2017年)問15 三相誘導電動機に関する計算問題
定格出力15kW、定格電圧400V、定格周波数60Hz、極数4の三相誘導電動機がある。
この誘導電動機が定格電圧、定格周波数で運転されているとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
(a)軸出力が15kW、効率と力率がそれぞれ90%で運転されているときの一次電流の値[A]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1)22(2)24(3)27(4)33(5)46
(b)この誘導電動機が巻線形であり、全負荷時の回転速度が$1746min^{-1}$であるものとする。二次回路の各相に抵抗を追加して挿入したところ、全負荷時の回転速度が$1455min^{-1}$となった。ただし、負荷トルクは回転速度によらず一定とする。挿入した抵抗の値は元の二次回路の抵抗の値の何倍であるか。最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1)1.2(2)2.2(3)5.4(4)6.4(5)7.4
- 解答を見る
- (a)・・・(3)
(b)・・・(3)
前提知識
①電動機の三相入力電力$P_{1}[W]$を求める式
ただし、$V_{1}[V]$は電動機端子電圧(線間)、$I_{1}[A]$は一次電流、$cosθ$は力率。
②トルクの比例推移における関係式
$$\frac{r_{1}}{s_{1}}=\frac{r_{2}}{s_{2}}=\frac{r_{3}}{s_{3}}$$
トルクの比例推移に関する記事も書いてますので、是非ご覧ください。
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解説
(a)
題意より、電動機効率$η[\%]$は$90[\%]$であり、効率$η[\%]$は、
$$η=\frac{P_{o}}{P_{1}}×100[\%]$$
で表されます。これより、電動機の一次入力$P_{1}[W]$を求めると、
$$\begin{align}P_{1}&=\frac{100P_{o}}{η}\\&=\frac{100×15×100^{3}}{90}\\&=16667[W]\end{align}$$
ここで『前提知識①』より、電動機の一次電流$I_{1}[A]$を求めると、
$$\begin{align}I_{1}&=\frac{P_{1}}{\sqrt{3}V_{1}cosθ}\\&=\frac{16667}{\sqrt{3}×400×0.9}\\&=26.7\\&≒27[A]\end{align}$$
よって(a)の答えは(3)となります。
(b)
この問題は、元の二次回路の抵抗を$r[Ω]$、挿入した抵抗を$R[Ω]$とすると、
$$\frac{R}{r}$$
を求める問題となります。問題文中に『負荷トルクは回転速度によらず一定とする』とあるので『前提知識②』のトルクの比例推移を用います。元のすべりを$s$、変化後のすべりを$s’$とすると、次の関係式が成り立ちます。
$$\frac{r}{s}=\frac{r+R}{s’}$$
元の状態のすべり$s$を求めます。
電動機の同期速度$N_{s}[min^{-1}]$を求めると、
$$\begin{align}N_{s}&=\frac{120f}{p}\\&=\frac{120×60}{4}\\&=1800[min^{-1}]\end{align}$$
よって、
$$\begin{align}s&=\frac{N_{s}-N}{N_{s}}\\&=\frac{1800-1746}{1800}\\&=0.03\end{align}$$
次に変化後のすべり$s’$を求めると、
$$\begin{align}s’&=\frac{1800-1455}{1800}\\&=0.1917\end{align}$$
では、求めたすべりを「トルクの比例推移の式」に代入して答えを求めましょう。
$$\frac{r}{0.03}=\frac{r+R}{0.1917}$$
$$0.1917r=0.03r+0.03R$$
$$\begin{align}\frac{R}{r}&=5.38\\&≒5.4\end{align}$$
よって(b)の答えは(3)となります。
H30年度(2018年)問3 三相かご形誘導電動機に関する計算問題
定格出力11.0kW、定格電圧220Vの三相かご形誘導電動機が定トルク負荷に接続されており、定格電圧かつ定格負荷において滑り3.0%で運転されていたが、電源電圧が低下し滑りが6.0%で一定となった。滑りが一定となったときの負荷トルクは定格電圧のときと同じであった。このとき、二次電流の値は定格電圧のときの何倍となるか。最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし、電源周波数は定格値で一定とする。
(1)0.50(2)0.97(3)1.03(4)1.41(5)2.00
- 解答を見る
- (4)
前提知識
①電動機の出力$P_{o}[W]$を求める式(2種類)
$$P_{o}=3\frac{1-s}{s}r_{2}’I_{2}^{2}[W]$$
<二つ目>
$$P_{o}=ωT[W]$$
ただし、$ω[rad/s]$は回転子の回転角速度、$T[N・m]$は電動機トルク。
解説
この問題は題意中に『定トルク負荷に接続されており』とあるので「トルクの比例推移」を用いるのかと思いがちですが、そうではありません。今回求めるのは、「二次電流の変化前後の倍率」ですので、与えられた条件から二次電流を含む関係式を用いて問題を解いていきましょう。『前提知識①<一つ目>』より、立式します。条件変化前の電動機出力$P_{o}[W]$に関する式は、
$$P_{o}=3\frac{1-s}{s}r_{2}’I_{2}^{2}[W]・・・①$$
条件変化後の電動機出力$P_{o}'[W]$に関する式は、
$$P_{o}’=3\frac{1-s’}{s’}r_{2}’I_{2}’^{2}・・・②$$
となります。この二つを用いて、
$$\frac{I_{2}’}{I_{2}}$$
を求めるのが今回の問題となります。($r_{2}'[Ω]$は未知数ですが、なんとなく計算過程で消えそうな感じはしますね!)
次に、条件変化後の電動機出力$P_{o}'[W]$を求めるのですが、ここで題意の『滑りが一定となったときの負荷トルクは定格電圧のときと同じ』を用います。
条件変化前のトルク$T$に関する式は、
$$T=\frac{P_{o}}{ω_{s}(1-s)}[N・m]・・・③$$
条件変化後もトルクは変わらないので、
$$T=\frac{P_{o}’}{ω_{s}(1-s’)}[N・m]・・・④$$
となります。③=④より条件変化後の電動機出力$P_{o}'[W]$を求めます。
$$\frac{P_{o}’}{ω_{s}(1-s’)}=\frac{P_{o}}{ω_{s}(1-s)}$$
より、
$$\begin{align}P_{o}’&=\frac{1-s’}{1-s}×P_{o}\\&=\frac{1-0.06}{1-0.03}×11×10^{3}\\&=10659[W]・・・⑤\end{align}$$
ここで、①式と②式より、
$$\frac{P_{o’}}{P_{o}}=\frac{3\frac{1-s’}{s’}r_{2}’I_{2}’^{2}}{3\frac{1-s}{s}r_{2}’I_{2}^{2}}$$
という式が得られるので、これを$$\frac{I_{2}’}{I_{2}}$$を求める式に変形すると、
$$\begin{align}\frac{I_{2}’}{I_{2}}&=\sqrt{\frac{P_{o}’×(1-s)×s’}{P_{o}×(1-s’)×s}}\\&=\sqrt{\frac{10659×(1-0.03)×0.06}{11000×(1-0.06)×0.03}}\\&=1.414\\&≒1.41\end{align}$$
よって答えは(4)となります。
R元年度(2019年)問3 誘導電動機の効率に関する計算問題
4極の三相誘導電動機は60Hzの電源に接続され、出力5.75kW、回転速度$1656min^{-1}$で運転されている。このとき、一次銅損、二次銅損及び鉄損の三つの損失の値が等しかった。このときの誘導電動機の効率の値[%]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、その他の損失は無視できるものとする。
(1)76.0 (2)77.8 (3)79.3 (4)80.6 (5)88.5
- 解答を見る
- (3)
前提知識
①電動機の同期速度$N_{s}[min^{-1}]$を求める式。
ただし、$p$は極数、$f$は周波数。
ただし、$N[min^{-1}]$は電動機回転子の回転速度。
解説
題意より、損失は「一次銅損、二次銅損、鉄損」のみを考慮すればよいので、電動機の効率$η[\%]$は、
$$\begin{align}η[\%]&=\frac{P_{o}}{P_{1}(一次入力)}×100\\&=\frac{P_{o}}{P_{o}+P_{c1}+P_{c2}+P_{i}}×100\end{align}$$
で求められます。(※$P_{c1}$は一次銅損、$P_{c2}$は二次銅損、$P_{i}$は鉄損)
題意より、
$$P_{c1}=P_{c2}=P_{i}$$
であることが条件なので、この中で求められそうなものを一つ求めましょう。ここで『前提知識③』を用いて二次銅損$P_{c2}[W]$を表す式を求めると、
$$P_{c2}=\frac{s}{1-s}×P_{o}[W]$$
となります。すべり$s$が未知数なので、すべり$s$を求めるために電動機の同期速度$N_{s}[min^{-1}]$を求めると、
$$\begin{align}N_{s}&=\frac{120f}{p}\\&=\frac{120×60}{4}\\&=1800[min^{-1}]\end{align}$$
となり、すべりを求めると、
$$\begin{align}s&=\frac{N_{s}-N}{N_{s}}\\&=\frac{1800-1656}{1800}\\&=0.08\end{align}$$
となります。よって二次銅損$P_{c2}[W]$は、
$$\begin{align}P_{c2}&=\frac{s}{1-s}×P_{o}\\&=\frac{0.08}{1-0.08}×5750\\&=500[W]\end{align}$$
となります。最後に冒頭に求めた効率$η[\%]$を求める式に数値を代入すると、
$$\begin{align}η[\%]&=\frac{5750}{5750+500+500+500}×100\\&=79.3[\%]\end{align}$$
よって答えは(3)となります。
R2年度(2020年)問15 三相誘導電動機の二次入力・出力に関する計算問題
定格出力45kW、定格周波数60Hz、極数4、定格運転時の滑りが0.02である三相誘導電動機について、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
(a)この誘導電動機の定格運転時の二次入力(同期ワット)の値[kW]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1)43 (2)44 (3)45 (4)46 (5)47
(b)この誘導電動機を、電源周波数50Hzにおいて、60Hz運転時の定格出力トルクと同じ出力トルクで連続して運転する。この50Hzでの運転において、滑りが50Hzを基準として0.05であるときの誘導電動機の出力の値[kW]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1)36 (2)38 (3)45 (4)54 (5)56
- 解答を見る
- (a)・・・(4)
(b)・・・(1)
前提知識
①二次入力$P_{2}$、二次銅損$P_{c2}$、出力$P_{o}$の関係式。
ただし、$ω[rad/s]$は回転子回転角速度、$T[N・m]$は電動機トルク。
解説
(a)
『前提知識①』より、二次入力$P_{2}[kW]$は、
$$\begin{align}P_{2}&=\frac{1}{1-s}×P_{o}\\&=\frac{1}{1-0.02}×45\\&=45.9\\&≒46[kW]\end{align}$$
よって(a)の答えは(4)となります。
(b)
電源周波数を60Hz⇒50Hzに変更したときの出力を求める問題となります。題意より、『60Hz運転時の定格出力トルクと同じ出力トルクで連続して運転する』とあるので、60Hz運転時の定格出力トルクを求めましょう。60Hz運転時の回転角速度$ω[rad/s]$は、
$$\begin{align}ω&=\frac{2π}{60}×\frac{120f}{p}(1-s)\\&=\frac{2π}{60}×\frac{120×60}{4}(1-0.02)\\&=184.6[rad/s]\end{align}$$
となります。よって60Hz運転時の定格出力トルク$T_{n}[N・m]$は、
$$\begin{align}T_{n}&=\frac{P_{o}}{ω}\\&=\frac{45×10^{3}}{184.6}\\&=243.7[N・m]\end{align}$$
となります。次に、50Hz運転時の回転角速度$ω'[rad/s]$を求めると、
$$\begin{align}ω’&=\frac{2π}{60}×\frac{120f’}{p}(1-s’)\\&=\frac{2π}{60}×\frac{120×50}{4}(1-0.05)\\&=149.1[rad/s]\end{align}$$
よって、50Hz変更時の誘導電動機の出力$P_{o}’$は、
$$\begin{align}P_{o}’&=ω’T_{n}\\&=149.1×243.7\\&=36335[W]\\&≒36[kW]\end{align}$$
よって(b)の答えは(1)となります。
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