<H26年度(2014年)問2>  直流電動機・発電機の切り替えに関する計算問題(解説あり)

問題

出力20[kW]、端子電圧100[V]、回転速度1500[min1]で運転していた直流他励発電機があり、その電機子回路の抵抗は0.05[Ω]であった。この発電機を電圧100[V]の直流電源に接続して、そのまま直流他励電動機として使用したとき、ある負荷で回転速度は1200[min1]となり安定した。
このときの運転状態における電動機の負荷電流(電機子電流)の値[A]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、発電機での運転と電動機での運転とで、界磁電圧は変わらないものとし、ブラシの接触による電圧降下及び電機子反作用は無視できるものとする。

(1)180 (2)200 (3)220 (4)240 (5)260

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(4)

前提知識

①直流他励電動機の等価回路

V=E+RaIa

画像1

②直流他励発電機の等価回路

V=ERaIa

画像2

③直流機の逆起電力E[V]と回転速度N[min1]の関係式

E=KEΦN[V]
ただし、KEは逆起電力定数、Φ[Wb]は一極当たりの磁束、N[min1]は回転速度。

解説

まずは条件を整理するために、等価回路を描いてみましょう。

画像1

まずは『発電機』の状態で必要な値を求めていきましょう。題意より、発電機出力P=20[kW]、端子電圧V=100[V]であるので、電機子電流Ia[A]は次のように求まります。

Ia=PV=20×103100=200[A]

次に逆起電力E[V]を求めると、

E=V+RaIa=100+0.05×200=110[V]

となります。では次に『電動機』状態にて必要な値を求めていきましょう。題意より、界磁電圧は変わらないものとするとあるので、『前提知識③』式、

E=KEΦN[V]

中の磁束Φ[Wb]は一定となります。したがって逆起電力E[V]と回転速度N[min1]は次のような関係となります。

EN

よって、電動機運転中の逆起電力E[V]は次のように求まります。

E=NN×E=12001500×110=88[V]

電動機運転中の回路方程式は『前提知識①』より、

V=E+RaIa

であるので、電機子電流Iaを求めると、

Ia=VERa=100880.05=240[A]

となります。

よって答えは(4)となります。

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