問題
出力$20[kW]$、端子電圧$100[V]$、回転速度$1500[min^{-1}]$で運転していた直流他励発電機があり、その電機子回路の抵抗は$0.05[Ω]$であった。この発電機を電圧$100[V]$の直流電源に接続して、そのまま直流他励電動機として使用したとき、ある負荷で回転速度は$1200[min^{-1}]$となり安定した。
このときの運転状態における電動機の負荷電流(電機子電流)の値$[A]$として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、発電機での運転と電動機での運転とで、界磁電圧は変わらないものとし、ブラシの接触による電圧降下及び電機子反作用は無視できるものとする。
(1)180 (2)200 (3)220 (4)240 (5)260
- 解答を見る
- (4)
前提知識
①直流他励電動機の等価回路
$$V=E+R_{a}I_{a}$$
②直流他励発電機の等価回路
$$V=E-R_{a}I_{a}$$
③直流機の逆起電力$E[V]$と回転速度$N[min^{-1}]$の関係式
ただし、$K_{E}$は逆起電力定数、$Φ[Wb]$は一極当たりの磁束、$N[min^{-1}]$は回転速度。
解説
まずは条件を整理するために、等価回路を描いてみましょう。
まずは『発電機』の状態で必要な値を求めていきましょう。題意より、発電機出力$P=20[kW]$、端子電圧$V=100[V]$であるので、電機子電流$I_{a}[A]$は次のように求まります。
$$\begin{align}I_{a}&=\frac{P}{V}\\&=\frac{20×10^{3}}{100}\\&=200[A]\end{align}$$
次に逆起電力$E[V]$を求めると、
$$\begin{align}E&=V+R_{a}I_{a}\\&=100+0.05×200\\&=110[V]\end{align}$$
となります。では次に『電動機』状態にて必要な値を求めていきましょう。題意より、界磁電圧は変わらないものとするとあるので、『前提知識③』式、
$$E=K_{E}ΦN[V]$$
中の磁束$Φ[Wb]$は一定となります。したがって逆起電力$E[V]$と回転速度$N[min^{-1}]$は次のような関係となります。
$$E∝N$$
よって、電動機運転中の逆起電力$E'[V]$は次のように求まります。
$$\begin{align}E’&=\frac{N’}{N}×E\\&=\frac{1200}{1500}×110\\&=88[V]\end{align}$$
電動機運転中の回路方程式は『前提知識①』より、
$$V’=E’+R_{a}I_{a}’$$
であるので、電機子電流$I_{a}’$を求めると、
$$\begin{align}I_{a}’&=\frac{V’-E’}{R_{a}}\\&=\frac{100-88}{0.05}\\&=240[A]\end{align}$$
となります。
よって答えは(4)となります。
直流機関連記事&オススメの書籍
関連記事
直流電動機の励磁方式 皆さんこんにちは!NORIです! 前回は下リンクの記事にて、直流電動機の基本構造を説明しました。ここで少復習ですが、直流電動機の固定子磁極の役割は何でしたでしょうか? 正解は「磁界を発生させること[…]
皆さんこんにちは!NORIです! 前回はこちらの記事↓ 【直流分巻・他励方式について詳しく】[sitecard subtitle=関連記事 url=https://kikai-maschine.com/2021/11/22/dc-m[…]
[adcode] dcモーター(直流電動機)とは? dcモーター(直流電動機)は、 直流電源(dc)を接続することにより回転するモーター(電動機) のことを言います。 今回はdcモーターについての理解を深めるためにdcモーター[…]
オススメの書籍
メカトロニクスのモータ技術
こちらを一言で表現するならば、DCモータを極めるための本です。個人的に非常に難しい本だと感じましたが、その分学びも多くありました。
内訳としては、DCモータ絡みのページが400ページ強。電磁気に関するページが60ページほど。となっています。電験3種どころか2種・1種でも出題されないような、どちらかというと「モータ開発者・使用者」等の実務者向けの書籍であるように、個人的には思います。したがって<上級者向け>としました。
それでも私のような人間にもある程度理解できるように書いてあるのが本書の素晴らしい点であると感じています。
本自体の重厚感・紙質にもこだわりぬかれた「高級な贅沢品」であると感じました。
電動機関連オススメの書籍3選
こちらの記事の書籍評価は完全主観に基づいたものです。あくまでも参考程度にご覧ください。 こんにちは!NORIです! 今回は電験機械科目の学習をサポートし、理解を深めてくれる書籍・参考書を三冊紹介したいと思いま[…]