問題
直流他励電動機の電機子回路に直列抵抗$0.8[Ω]$を接続して電圧$120[V]$の直流電源で始動したところ、始動直後の電機子電流は$120[A]$であった。電機子電流が$40[A]$のなったところで直列抵抗を$0.3[Ω]$に切り替えた。インダクタンスが無視でき、電流が瞬時に変化するものとして、切換え直後の電機子電流$[A]$の値として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、切換え時に電動機の回転速度は変化しないものとする。また、ブラシによる電圧降下及び電機子反作用はないものとし、電源電圧及び界磁電流は一定とする。
(1)60 (2)80 (3)107 (4)133 (5)240
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- (2)
前提知識
①直流他励電動機の等価回路
直流電動機の各種巻線方式の特徴に関する記事もありますので是非ご覧ください。
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②直流機の回転速度$N[min^{-1}]$、逆起電力$E[V]$の関係式。
ただし、$K$は逆起電力定数、$Φ[Wb]$は1極当たりの磁束、$N[min^{-1}]$は回転速度。
解説
この問題は、直流他励電動機の電機子回路に直列抵抗を接続した問題になります。なので『前提知識①』に直列抵抗$R[Ω]$を接続した等価回路を<画像2>に示します。
始動直後は『前提知識②』式中の回転速度$N=0[min^{-1}]$なので、逆起電力$E=0[V]$になります。始動直後の等価回路を示すと<画像3>のようになります。
よって、電機子抵抗$R_{a}[Ω]$を求めると次のようになります。
$$V=E+(R_{a}+R)I_{a}$$
より、
$$\begin{align}R_{a}&=\frac{V}{I_{a}}-R\\&=\\&=\frac{120}{120}-0.8\\&=0.2[Ω]\end{align}$$
となります。始動直後の状態から徐々に電動機の回転速度$N[min^{-1}]$が上昇していくと、逆起電力$E[V]$も上昇していき電機子電流$I_{a}[A]$は減少していきます。題意中に『電機子電流が$I_{a}’=40[A]$まで減少した』とあるので、その状態の等価回路も示します。<画像4>
この時の逆起電力$E'[V]$を求めると、
$$\begin{align}E’&=V-(R_{a}+R)I_{a}’\\&=120-(0.2+0.8)×40\\&=80[V]\end{align}$$
となります。この状態から電機子回路に接続した直列抵抗を$R’=0.3[Ω]$に変更したときの等価回路を示します。題意より『切換え時に電動機の回転速度は変化しないものとする』とあるので、逆起電力$E’=80[V]$から変化しません。<画像5>
等価回路より、直列抵抗切換え後の電機子電流$I_{a}”[A]$を求めます。
$$\begin{align}I_{a}”&=\frac{V-E’}{R_{a}+R’}\\&=\frac{120-80}{0.2+0.3}\\&=80[A]\end{align}$$
よって答えは(2)となります。
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