<H23年度(2011年)問4> 同期発電機の出力端子間電圧を求める計算問題(解説あり)

問題

次の文章は、同期発電機に関する記述である。
Y結線の非突極形三相同期発電機があり、各相の同期リアクタンスが$3[Ω]$、無負荷時の出力端子と中性点間の電圧が$424.2[V]$である。この発電機に1相当たり$R+jX_{L}[Ω]$の三相平衡Y結線の負荷を接続したところ各相に$50[A]$の電流が流れた。接続した負荷は誘導性でそのリアクタンス分は$3[Ω]$である。ただし、励磁の強さは一定で変化しないものとし、電機子巻線抵抗は無視するものとする。
このときの発電機の出力端子間電圧$[V]$の値として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)300 (2)335 (3)475 (4)581 (5)735

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(4)

前提知識

①同期発電機の1相分等価回路。

画像1

解説

まずは問題文より、1相分等価回路を書いてみましょう。線間電圧と相電圧を注意して書いていきましょう。

画像1

次に、誘導起電力の大きさ$|\dot{E}|$と電機子電流の大きさ$|\dot{I}|$が分かっているので、回路の合成インピーダンスの大きさ$|\dot{Z}|$を求めることができます。

$$\begin{align}Z&=\frac{E}{I}\\&=\frac{424.2}{50}\\&=8.484[Ω]\end{align}$$

回路の合成インピーダンスの大きさが分かったので負荷の抵抗分を求めることができます。

$$Z=\sqrt{R^{2}+(X_{L}+X_{s})^{2}}$$より、$R$を求める式に変形すると、

$$\begin{align}R&=\sqrt{Z^{2}-(X_{L}+X_{s})^{2}}\\&=\sqrt{8.484^{2}-(3.000+3.000)^{2}}\\&=5.998\\&≒6[Ω]\end{align}$$

負荷インピーダンス$\dot{Z}_{L}=6+j3[Ω]$と、電機子電流$|\dot{I}|=50[A]$であるので端子電圧(相電圧)$V$は、

$$V=50×\sqrt{6^{2}+3^{2}}=335.4[V]$$

となります。

よくあるミスが、ここで終了して(2)を選んでしまうことです。何がおかしいのか分かりますでしょうか?

問題文では『出力端子間電圧』を求める、すなわち、線間電圧を求める必要があります。では、最後に線間電圧に変換して終わりとしましょう。

$$V_{l}=\sqrt{3}×335.4=580.9≒581[V]$$

よって答えは(4)となります。

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