みなさんこんにちは!『機械の泉』管理人NORIと申します。
今回は電験三種機械科目の「直流機」に登場する以下の式、
の導出について解説していきたいと思います。
導出
まずは<画像1>中に示した1コイルのコイル辺に生じる起電力$e_{1}$は以下の式で表されるのでした。
$$e_{1}=vBl[V]$$
ただし、$v[m/s]$は周速度、$B[T]$は磁束密度、$l[m]$はコイル辺の長さ
ではまずは、周速度$v[m/s]$を回転速度$N[min^{-1}]$を用いて表していきます。
<画像5>より、”1直列回路”に生じる起電力$e$は、
$$\begin{align}e&=e_{1}×\frac{Z}{a}\\&=\frac{N}{60}pφ\frac{Z}{a}\end{align}$$
となり、導出終了です。
過去問で使ってみる
<H27年度(2015年)問1>
4極の直流電動機が電機子電流250A、回転速度$1200min^{-1}$で一定の出力で運転されている。電機子導体は波巻であり、全導体数が258、1極当たりの磁束が0.020Wbであるとき、この電動機の出力の値[kW]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、波巻の並列回路数は2である。また、ブラシによる電圧降下は無視できるものとする。
(1)8.21 (2)12.9 (3)27.5 (4)51.6 (5)55.0
- 解答を見る
- (4)
解説
出力$P[W]$は、1直列回路の起電力(電動機の場合”逆起電力”)と電流を用いて次式で求めることが出来ます。
$$P=eI[W]$$
ここで、1直列回路の起電力$e[V]$を求めるために、題意の数値と先ほど導出した式を用いてみましょう。
$$\begin{align}e&=\frac{N}{60}pφ\frac{Z}{a}\\&=\frac{1200}{60}×4×0.02×\frac{258}{2}\\&=206.4[V]\end{align}$$
よって出力は、
$$\begin{align}P&=eI\\&=206.4×250\\&=51600[W]\\&=51.6[kW]\end{align}$$
よって答えは(4)となります。
直流機をより深く学ぶためのオススメの本
<初心者向け>モータ技術のすべてがわかる本
こちらの本は本章で取り扱った直流モータのみならず、誘導モータ・同期モータに関しても非常に分かりやすく詳細に書いてあります。また、この本の最大の特徴ともいえるのが、フルカラーという点です。フルカラーイラストをふんだんに用いていますので、機械科目において重要な「脳内でのイメージ材料」を鮮明に手に入れることが出来るでしょう。これは機械科目の学習を行う上で重要な能力であり、当サイトも意識している点であります。
その内容と分かりやすさは、表紙にも記載のある通り、まさに、「モータのことはこれ1冊でOK」な本となっています
<上級者向け>メカトロニクスのモータ技術
こちらを一言で表現するならば、DCモータを極めるための本です。個人的に非常に難しい本だと感じましたが、その分学びも多くありました。
内訳としては、DCモータ絡みのページが400ページ強。電磁気に関するページが60ページほど。となっています。電験3種どころか2種・1種でも出題されないような、どちらかというと「モータ開発者・使用者」等の実務者向けの本であるように、個人的には思います。したがって<上級者向け>としました。
それでも私のような人間にもある程度理解できるよう書いてあるのが本書の素晴らしい点であると感じています。
本自体の重厚感・紙質にもこだわりぬかれた「高級な贅沢品」であると感じました。