【電験三種】直流機の誘導起電力の式(e=pφNZ/60a)の導出解説&実践【機械】

みなさんこんにちは!『機械の泉』管理人NORIと申します。

今回は電験三種機械科目の「直流機」に登場する以下の式、

$$e=\frac{N}{60}pφ\frac{z}{a}[V]$$

の導出について解説していきたいと思います。

導出

画像1

まずは<画像1>中に示した1コイルのコイル辺に生じる起電力$e_{1}$は以下の式で表されるのでした。

$$e_{1}=vBl[V]$$

ただし、$v[m/s]$は周速度、$B[T]$は磁束密度、$l[m]$はコイル辺の長さ

 

ここから$v[m/s]$と$B[T]$を<画像2>のように、直径$D[m]$、回転速度$N[min^{-1}]$、一極当たりの磁束$φ[Wb]$を用いて表していきます。
画像2

 

ではまずは、周速度$v[m/s]$を回転速度$N[min^{-1}]$を用いて表していきます。

回転速度$N[min^{-1}]$は”一分間にN回転する”という意味なので、これを秒単位に変換すると、$\frac{N}{60}[s^{-1}]$となります。次に一回転の長さ(円周)を求めると、$πD[m]$となります。ということで、周速度$v[m/s]$は、
$$v=\frac{πDN}{60}[m/s]$$
となります。
次に磁束密度$B[T]$を極数$p$と一極当たりの磁束$φ[Wb]$を用いて表します。磁束密度の単位は$[Wb/m^{2}]$とも表されます。これは磁束を回転子表面積で割ってあげた単位になります。
図3
<図3>のように回転子を円筒とみなすと、側面(黒色の部分)の表面積$S$は、$$S=πDl[m^{2}]$$となります。全磁束$Φ[Wb]$は、磁極数$p$と、一極当たりの磁束$φ[Wb]$を用いて、$$Φ=pφ[Wb]$$となり、磁束密度$B[Wb/m^{2}]$は、
$$\begin{align}B&=\frac{Φ}{S}\\&=\frac{pφ}{πDl}[Wb/m^{2}]\end{align}$$
となります。ということで、コイル辺に生じる起電力の式に代入すると、
$$\begin{align}e_{1}&=vBl\\&=\frac{πDN}{60}×\frac{pφ}{πDl}×l\\&=\frac{N}{60}pφ[V]\end{align}$$
となりました。これは”1導体”に生じる起電力の式であるので、これを”1直列回路”に生じる起電力の式に直します。よく電験の問題文には「全導体数を$z$とし、並列回路数を$a$とする」とありますが、これは<画像4>に示すようなイメージになります。
画像4
画像5

 

<画像5>より、”1直列回路”に生じる起電力$e$は、

 

$$\begin{align}e&=e_{1}×\frac{Z}{a}\\&=\frac{N}{60}pφ\frac{Z}{a}\end{align}$$

 

となり、導出終了です。

過去問で使ってみる

<H27年度(2015年)問1>

4極の直流電動機が電機子電流250A、回転速度$1200min^{-1}$で一定の出力で運転されている。電機子導体は波巻であり、全導体数が258、1極当たりの磁束が0.020Wbであるとき、この電動機の出力の値[kW]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、波巻の並列回路数は2である。また、ブラシによる電圧降下は無視できるものとする。

(1)8.21 (2)12.9 (3)27.5 (4)51.6 (5)55.0

解答を見る
(4)

解説

出力$P[W]$は、1直列回路の起電力(電動機の場合”逆起電力”)と電流を用いて次式で求めることが出来ます。

$$P=eI[W]$$

ここで、1直列回路の起電力$e[V]$を求めるために、題意の数値と先ほど導出した式を用いてみましょう。

$$\begin{align}e&=\frac{N}{60}pφ\frac{Z}{a}\\&=\frac{1200}{60}×4×0.02×\frac{258}{2}\\&=206.4[V]\end{align}$$

よって出力は、

$$\begin{align}P&=eI\\&=206.4×250\\&=51600[W]\\&=51.6[kW]\end{align}$$

よって答えは(4)となります。

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電気系の情報発信をしています。