問題
図は、磁極数が2の直流発電機を模式的に表したものである。電機子巻線については、1巻き分のコイルを示している。電機子の直径$D$は$0.5[m]$、電機子導体の有効長$l$は$0.3[m]$、ギャップの磁束密度$B$は、図の状態のように電機子導体が磁極の中心付近にあるとき一定で$0.4[T]$、回転速度$n$は$1200[min^{-1}]$である。図の状態におけるこの1巻きのコイルに誘導される起電力$e[V]$の値として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1)2.40 (2)3.77 (3)7.54 (4)15.1 (5)452
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- (3)
前提知識
①コイル辺に生じる誘導起電力$e[V]$を求める式
※上記$e[V]$は、コイル辺に生じる誘導起電力を求める問題になります。したがって1巻のコイルに生じる誘導起電力を求める場合は、左右2辺分、すなわち$e×2[V]$を計算する必要がありますので注意してください。
解説
『前提知識①』より、コイル辺に生じる誘導起電力$e[V]$は次式で表されます。
$$e=vBlcosθ[V]$$
題意より、『図の状態のように電機子導体が磁極の中心付近にあるとき』の誘導起電力を求めるので『前提知識① <画像1>』中の角度$θ=0°$となります。したがって、
$$\begin{align}e&=vBlcos0°\\&=vBl[V]\end{align}・・・①$$
となります。次に電機子巻線(回転子)の周速度$v[m/s]$を求めてあげましょう。題意に与えられているのは$n=1200[min^{-1}]$であり、これは「1分間で1200回転する」という意味になります。公式に当てはめて$v[m/s]$に変換しても良いのですが、ここでは単位を見ながら変換していきましょう。
まずは、1分間⇒1秒に直してあげましょう。
$$n’=\frac{n}{60}$$
次に「1秒間に$\frac{n}{60}$回転」を「1秒間に〇m動く」に直します。直径を$D[m]$とすると円周は$πD[m]$で表されるので、1回転は$πD[m]$となります。したがって周速度$v[m/s]$は、
$$v=\frac{πDn}{60}[m/s]$$
となり、数値を代入すると次のようになります。
$$\begin{align}v&=\frac{π×0.5×1200}{60}\\&=31.41[m/s]\end{align}$$
したがって、誘導起電力を求める式①に数値を代入すると、
$$\begin{align}e&=vBl\\&=31.41×0.4×0.3\\&=3.769[V]\end{align}$$
最後に注意が必要なのが、これはコイル辺に生じる誘導起電力であるということです。この問題は1巻のコイルに生じる誘導起電力を求める問題なので、$e×2[V]$が正解となります。
$$\begin{align}E&=2e\\&=2×3.769\\&=7.538[V]\end{align}$$
よって答えは(3)となります。
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