問題
極数4で50[$Hz$]用の巻線形三相誘導電動機があり、全負荷時の滑りは4[%]である。全負荷トルクのまま、この電動機の回転速度を1200[$min^{-1}$]にするために、二次回路に挿入する一相当たりの抵抗[Ω]の値として、最も近いのは次のうちどれか。
ただし、巻線形三相誘導電動機の二次巻線は星形(Y)結線であり、各相の抵抗値は0.5[Ω]とする。
(1)2.0 (2)2.5 (3)3.0 (4)7.0 (5)7.5
- 解答を見る
- (1)
前提知識
①誘導電動機の回転磁界の回転速度(以後、同期速度)$N_{s}[min^{-1}]$は、次式で表されます。
ただし、pは極数。
ただし、$N_{s}[min^{-1}]$は同期速度、$N[min^{-1}]$は回転子の回転速度。
$$\frac{r_{3}}{s_{3}}=\frac{r_{2}}{s_{2}}=\frac{r_{1}}{s_{1}}$$
であれば同一トルクとなる。
トルクの比例推移に関する記事は以下でご覧になることが出来ますので、是非ご覧ください。
[adcode] この記事を読む前に、下のリンクで「誘導電動機の基礎」を学ぶと理解が深まるかと思います。 【誘導電動機の基礎について詳しく】[sitecard subtitle=関連記事 url=https://kikai-masc[…]
解説
まず、この誘導電動機の同期速度$N_{s}[min^{-1}]$を求めると、
$$\begin{align}N_{s}&=\frac{120f}{p}\\&=\frac{120×50}{4}\\&=1500[min^{-1}]\end{align}$$
次に回転速度$N[min^{-1}]$が$1200[min^{-1}]$の時の滑り$s’$を求めましょう。
$$\begin{align}s’&=\frac{N_{s}-N}{N_{s}}\\&=\frac{1500-1200}{1500}\\&=0.2\end{align}$$
問題文中に『全負荷トルクのまま』とあるので、『前提知識③』を用いて解いていきます。問題文中の各相の抵抗値を$r[Ω]$、二次回路に挿入する一相当たりの抵抗を$R[Ω]$、全負荷時の滑り$s_{1}$、条件変化後の滑り$s_{2}$とすると、次の関係式を用いることが出来ます。
$$\frac{r}{s_{1}}=\frac{r+R}{s_{2}}$$
ここに題意の数値と、先ほど求めた滑りの値を代入して挿入する二次抵抗$R[Ω]$を求めます。
$$\frac{0.5}{0.04}=\frac{0.5+R}{0.2}$$
$$R=2.0[Ω]$$
よって答えは(1)となります。
誘導機関連記事&オススメの書籍紹介
関連記事
誘導電動機の構造 誘導電動機は、主に固定子と回転子に分けることができます。それぞれの構造を見ていきましょう。 固定子(ステータ) 固定子の主な役割は、回転磁界を発生さ[…]
[adcode] この記事を読む前に、下のリンクで「誘導電動機の基礎」を学ぶと理解が深まるかと思います。 【誘導電動機の基礎について詳しく】[sitecard subtitle=関連記事 url=https://kikai-masc[…]
モータ技術のすべてがわかる本
こちらの本は本章で取り扱った同期モータのみならず、誘導モータ・直流モータに関しても非常に分かりやすく詳細に書いてあります。また、この本の最大の特徴ともいえるのが、フルカラーという点です。フルカラーイラストをふんだんに用いていますので、機械科目において重要な「脳内でのイメージ材料」を鮮明に手に入れることが出来るでしょう。
表紙にも記載のある通り、まさに、「モータのことはこれ1冊でOK」な本となっています。
管理人が選ぶオススメ書籍3選
こちらの記事の書籍評価は完全主観に基づいたものです。あくまでも参考程度にご覧ください。 こんにちは!NORIです! 今回は電験機械科目の学習をサポートし、理解を深めてくれる書籍・参考書を三冊紹介したいと思いま[…]