問題
直流発電機に関する記述として、正しいのは次のうちどれか。
(1)直巻発電機は、負荷を接続しなくても電圧の確立が出来る。
(2)平複巻発電機は、全負荷電圧が無負荷電圧と等しくなるように(電圧変動率が零になるように)直巻巻線の起磁力を調整した発電機である。
(3)他励発電機は、界磁巻線の接続方向や電機子の回転方向によっては電圧の確立が出来ない場合がある。
(4)分巻発電機は、負荷電流によって端子電圧が降下すると、界磁電流が増加するので、他励発電機より負荷による電圧降下が小さい。
(5)分巻発電機は、残留磁気があれば分巻巻線の接続方向や電機子の回転方向に関係なく電圧の確立が出来る。
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- (2)
解説
(1)直巻発電機の回路図は<画像1>のようになります。
直巻発電機は、”電機子巻線”と”界磁巻線”が直列に接続されています。したがって直巻発電機に負荷が接続されていない(=閉回路が形成されていない)場合、電流は流れません。
電流が流れないということは、界磁巻線による磁束も生じませんので電圧は発生しません。したがって誤りです。
(2)正解
特性に関しては問題文の通りですが少しかみ砕いてみます。全負荷電圧は、「発電機に全負荷をかけたときの端子電圧」であり、無負荷電圧は「負荷を接続しない状態の端子電圧」かと思います。
無負荷であろうが全負荷であろうが端子電圧を一定に保つよう、直巻巻線の起磁力を調整する。が分かりやすいかと思います。
複巻の直流機の解説リンクを下に貼っておきますので是非ご覧ください。
皆さんこんにちは!NORIです! 前回はこちらの記事↓ 【直流分巻・他励方式について詳しく】[sitecard subtitle=関連記事 url=https://kikai-maschine.com/2021/11/22/dc-m[…]
(3)他励発電機の回路図は<画像2>のようになります。
この選択肢は「フレミングの右手の法則」が理解できていれば大丈夫かと思います。
界磁巻線の接続方向を変えるということは、図中の磁束の向き(人差し指)が変わる。回転方向を変えるということは、導体の移動方向(親指)の向きが変わるということかと思います。これら二つが変わった場合起電力の方向は変わりますが、電圧の確立はできます。したがって誤りです。
(4)分巻発電機の回路図は<画像3>のようになります。
問題文にあるように端子電圧$V$が降下した場合には、<画像3>からも分かるように界磁電流$I_{f}$は減少することが分かります。界磁電流が減少すると、界磁巻線から生じる磁束も減少し誘起電力も減少。ということは電圧変動率は大きくなることが分かります。
赤線を引いた部分が誤りとなります。
(5)分巻発電機の回路図は<画像3 再掲>のようになります。
”残留磁気”というのは界磁電流$I_{f}$が流れていない状態であっても残っている磁気の事です。この残留磁気の中で回転子を回転すると誘起電力$E$が生じ、電機子電流$I_{a}$も流れます。
電機子電流が流れると、右ねじの法則により周囲に磁界が生じるのですが、この磁界が「界磁磁束を打ち消す方向」に生じてしまった場合、電圧は確立できなくなってしまいます。したがって誤りとなります。
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