独学で『電験一種・一種電工・エネ管電気分野』に合格したノウハウまとめ

目次

この記事の目的

この記事は、学習に対する悩みを持たれている方に向けて書かれています。

対象読者

  • 学習の仕方がよく分からない人

  • リスキリングのために学び続ける社会人

  • 資格試験での困難に直面している人

  • 学習の継続やモチベーションの維持に苦しんでいる人

  • 努力しても成果が見えないと感じている人

内容の概要

 この記事はあくまでも私の個人的な体験と学びを基にしており、”私の信じていること”を書いたものです。したがって、反対意見も歓迎します。学歴の無い私が、社会人として働きながら”5年以上”に渡って継続してきた学習のノウハウを基に、読者の皆様にほんの少しでもやる気と勇気を引き出せればという思いで書きました。

私について

読んでくださっている方とシチュエーションを共有するために、自分について少し書いていきます。

生年

1997年生まれ。ゆとり教育の世代。

学歴

工業高校電子機械化卒(偏差値47)。いわゆる「高卒」。

所持資格

  • 第一種電気主任技術者

  • 第三種電気主任技術者

  • エネルギー管理士電気分野(試験合格)

  • 第一種電気工事士(試験合格)

  • 第二種電気工事士

  • 簿記三級

(細かな資格は省略)

学習の背景

 私はどちらかというと勉強が大の苦手でも、大の得意でもない、いわゆる「普通」の人間です。それは今でも変わっていないと思います。工業高校での生活が終盤に差し掛かってくると、「進学」か「就職」かの決断に迫られます。私の家庭は特別貧乏でも、特別裕福でもなかったのですが「大学に行くなら全部自腹で」という方針でした。一時は大学に進学するか迷ったのですが、運良く魅力的な就職先に出会えたので、就職を決意します。この時からぼんやりと「働きながら勉強すれば、十分通用するのでは」という思いは持っていました。実際に仕事に慣れ、精神的に余裕の出てきた20歳から、学習を始める事になります。そこから現在(25歳)に至るまでの5年間で、

  1. 第二種電気工事士

  2. 第一種電気工事士(試験合格)

  3. 第三種電気主任技術者

  4. 第一種電気主任技術者

  5. 簿記三級

  6. エネルギー管理士電気分野(試験合格)

の順番に取得する事になります。もちろん、社会を構成する「1社会人」ですから、ビジネス書や新聞・雑誌などを通じて、幅広い知識の獲得を心掛けてきました。現在は、技術士の取得とIoT分野の知識獲得に努めています。

日本人の「学習」に対する現状とリスク

 社会に出ると、会社や知人関係の中で、勉強している人は少ないものです。まだ1社しか勤務経験はありませんが、勉強している人と出会うと「レア」な感じがします。「帰ってから何するの?」と聞かれて「勉強したり、本を読んだり…」というと「すごい!」という反応が殆どなのは、そういう事でしょう。
日本人の「勉強」の現状について、私の所属組織(n=1)のみで語るのも不味いので、資料を少し参考にしてみましょう。

総務省による学習に関するデータ

 以下のデータを基に客観的に見てみましょう。

『令和3年社会生活基本調査 生活時間及び生活行動に関する結果 結果の要約』より

  • 2021年の1日あたりの学習・自己啓発・訓練時間は約13分。

  • 上記の活動を行なっている人は約39.6%、逆に60.4%がこれを実践していない。

皆さんはどう思われるでしょうか。

学習をしないことのリスク

 多くの人は「何もしない=現状維持である」という認識を持っているように思います。しかし、よく考えてみてください。機械のメンテナンスをせずに放っておいたり、家の掃除をせずに放っておくとどうなるでしょうか。汚れや錆がひどくなり、本来の機能を十分に発揮できなくなります。人間はモノではありませんが、同じことが言えると考えています。何もしなければ物事を忘れ、思考力も体力も衰えていきます。つまり実質的には「何もしない=退化である」と思うのです。

昨今の社会情勢は、非常に目まぐるしく活発に動いています。直近で言えば、原材料価格やエネルギー価格の高騰による経営圧迫。いつまで所属組織が存続するかは誰にも分かりません。さらに未来を見ると、AIが人間の仕事を代替する可能性も増えてきます。クリエイティブや知能労働といった、人の特権とされていた領域もAIの影響を受けるかもしれません。こうした世の中の流れを掴むことも学習の一部ですし、この流れを乗りこなせるよう「できることを増やす」ことも学習だと思います。何もしないで時の流れに身を任せることは、大きなリスクをはらんでいるように思えてならないのです。

歴史からの教訓

 世の中を知ると、今ある現状が当たり前ではないことに気がつくようになります。今の豊かな日本は、偉大な先人たちが過酷な労働環境を乗り越えてきた結果でもあります。彼らが死に物狂いで蒔いた種から実った果実を、今を生きる我々が食べているのです。果実がなくなりそうになると、人々は危機感を持ち始めます。この危機感は、人を動かすエネルギーに変えることができると思うのです。

危機感の力

 「自分の身が危ない」「このままでは生きていけない」と感じたとき、人は行動を取り始めます。私自身、高卒であり、特別な学歴はない上、特に頭が良いわけではありません。「頭が良いから勉強できる」と言われることがありますが、私は逆に「頭が悪いからこそ、頭を良くしておかないと大変だ」と感じているのです。危機感を持つことは素晴らしいことだと思います。それを行動へのエネルギーに変えていきましょう。

学習の進め方についての私の考え

 「危機感」持って学習を始められる素晴らしい方々に向けて、私なりの学習のノウハウを可能な限りお伝えできればと思います。具体例よりもまず先に、私の大切にしている考え方を書いていきます。

敵を知り、味方を知る

 目的を達成するということは”勝つ”ことです。敵=資格試験とすると分かりやすいので、これを例にとります。資格試験に勝つためには、まず資格試験そのものについて下調べをするところから始めましょう。

  • どんな分野が出題されるのか。

  • 合格率と受験者層から、難易度感はどれくらいか。

  • 合格点はどれくらいか、科目合格制度はないか。

  • 選択問題はあるのか。

などです。何も調べずに過去問に取り掛かることは、敵の陣営を把握せずに突撃しているのと同じです。敵の正体を知るところから始まります。

 次は「味方を知る」ですが、これは「活用できる資源を把握すること」です。経営資源といえば「人・モノ・金・情報」となりますが、この場合の資源とは「金・前提知識・時間」などが挙げられます。要は、目的を達成するための手助けとなるものです。金がたくさんあれば、オンライン講座や学校に通うことも視野に入るでしょう。家庭の事情もあり自由に使える金が少ないのであれば、別の方法を考えなければいけません。時間がたくさんあれば、広く深く学習できますが、時間が少なければ、範囲を絞って学習する必要があります。これは次に説明する「戦略」にも関わってきます。

目的と戦略と戦術の階層構造

 目的と戦略と戦術は階層構造を持っています。

目的・戦略・戦術の階層構造

 目的を達成するための戦略(シナリオ)があって、具体的な行動である戦術があります。例えば「資格試験に合格する」ということを目的に置いたとしましょう。この場合の戦略というのは、自分の持っている資源(金・前提知識・時間など)を勘案し、どこにどう配分すると目的を効率良く達成できるのかを考えることになります。資格試験は基本的に合格のボーダーラインが決まっていますから、「試験に合格すること」が目的であれば100点満点を取る必要はない訳です。全ての範囲を深く勉強するのもありですが、その分時間が取られます。家庭もあれば仕事もあります。人付き合いもあるかもしれません。自分の環境下において、得意を生かしながら時間をどう配分するかを考えてみるのです。

逆に考えてみると、資源が無限にあるのであれば戦略など考える必要はありません。思いつく限りのことを全て実行し、バンバン教材にお金を注ぎ込み、全範囲を深く学べば良いのです。しかし実際は、金も時間も有限であり、もっと言うと足りません。足りない中でどうするか。やらないことを明確に決める「選択と集中」こそが戦略の肝なのです。
戦術は「最も具体的な行動」のことを言います。どこにどれだけの時間を割くのか大まかに決まったのであれば、何月(週or日)から何月(週or日)まで何をするのかを決める。といった具合です。もっと具体的に「この日はこのページを取り組む」と決めてしまっても良いでしょう。自分はそこまで細かくはやりませんが(笑)!

 目的と戦略と戦術に関して書きましたが、ここに書かれていることが完璧にできなくても問題はないと思います。全く無計画で無鉄砲に挑戦するよりも、大まかなシナリオだけでも決めておいた方が、自分の人生の時間を有効活用できることは間違いないと思います。決めた戦術も、ダメだなと思ったら変えれば良いのです。計画通りに行かなくても反省だけして忘れましょう。人生長いですから、たまには妥協も必要でしょう。

前進するための後退

 さて、勉強を続けていると「分からないこと」は必ず出てきます。何にも躓かずに全て順調に理解できるのは、本当の本当の天才だけでしょう(それでも居ないとは思いますが)。大切なのは「分からない」を受け入れた上でどうするのか。このアプローチの仕方で継続できるか否かも決まってくるように思います。
結論として、私が大切にしていることは「基礎の基礎まで戻ること」です。戻る先が中学校で習う内容であろうが、小学校で習う内容であろうが遠慮なく戻ります。なぜなら「基礎」の上に全ての応用が築かれるからです。自分の経験や、SNSで他の学習者を見ていて「基礎が抜けている」と思うことが本当に多いのです。数学がわからなければ中学校の内容まで戻りましょう。それがたとえ四則演算だったとしてもです。知らないこと、忘れることは全く恥ではありません。人間であれば当たり前のこと。知らないことを認めず、学ばないことが恥なのです。

 これから十分「前進」するために少しの間「後退」する事くらい、なんの問題もないじゃないですか!!

方向転換と継続

 この「方向転換」と言うのは学習方法の転換のことであり、「方向」は先に述べた戦略のことでもあります。要は、努力が実る方向を見つけると言うことです。極端な例を出してみます。

例えば、「スカイツリーを見に行きたい」と言う目的を持つAさんがいたとします。Aさんは頑張りました。名古屋から一生懸命歩きました。次第に何か大きなタワーが見えてきます。結果、到着したのは「通天閣」でした。

可哀想ですね。彼は一生懸命歩いたのに、努力をしたのに、報われませんでした。何故なのか。それは「西に向かって歩いたから」です。これは分かりやすい例なので「そんな訳あるかい」と思われるでしょうが、学習となると良くある出来事のように思うのです。特に「資格試験でスパイラルに陥っておられる方」にこの傾向があるように思います。結果が出ない学習方法は改良していく必要があると思います。時には、大まかな方向転換をすることも重要でしょう。努力をしていないように見えないのに結果が出ないのは、やり方を間違えている、やり方が自分に合っていない恐れがあります。必要に応じて方向転換を繰り返しながら、歩みを継続する。目的を達成するために重要な要素だと思います。

 私の経験より、具体例を見てみましょう。

電験一種受験を事例としてみる

 第一種電気主任技術者試験には一次試験と二次試験があります。一次試験は「理論・電力・機械・法規」の四科目で6割がボーダー。二次試験は「電力管理・機械制御」の二科目です。
各科目の持つ特徴によって独自の学習法が求められてきます。

科目によって異なる勉強法

<理論>
理論科目は電気工学の基盤を問うもので、電気の基礎・電子理論・電気計測及び電子計測について問われます。この理論科目は他の科目の土台になると考えている科目です。したがって特に重点を置いて学習する事となります。電動機も変圧器も、それらから構成される電力系統も、電気理論の理解なしには理解できないと考えたからです。したがって理論に関しては、「100点満点を狙うつもりで取り組む」をおまかな戦略としていました。電磁気に関する専門書は複数購入して取り組みましたし、もっというと一種の内容を超える範囲まで取り組んでいました。後から振り返ってみても、この戦略は間違いではなかったと思います。

<電力・機械>
電力と機械科目に関しては、ボーダーラインを越えれば十分とする勉強法をとりました。とある領域に関しては専門書を購入し取り組んでいましたが、理論科目ほど深いレベルまで取り組んではいません。むしろ、二種一次・二次試験の内容が出題される可能性もあったので、深掘りはせず広く問題を解くことを意識しました。

<法規>
法規科目は他の三科目とは若干性格が異なり、条文の暗記が問われます。一部計算問題も出題されますが、過去問での対応で十分であると判断しました。暗記科目で意識していることは「隙間時間を活用してこまめに取り組む」ということです。人間の記憶は、何度も定期的に繰り返し同じ箇所を学ぶことで定着していきます。有名な「エビングハウスの忘却曲線」が参考になります。法規の参考書は持ち歩いたり、アプリをダウンロードして隙間時間で取り組んだり、こまめに取り組める環境を構築しました。

<二次試験(電力管理・機械制御)>
二次試験は記述式であり、一次試験のような「マークシート」ではありません。したがって一次試験以上に理解が問われます。

 ここで先に結論を言うと、一次試験の四科目は上記の方針で問題なく突破出来たのですが、二次試験は玉砕してしまいました。この鬼門である二次試験に「方向転換と継続」が活かされたのです。

方向転換と継続の実践

 二次試験受験の一年目にどのような学習をしたのか。それは「ひたすら書き殴る」という勉強法です。二次試験は「計算問題」と文章で答える「論説問題」があるのですが、そのどちらともノートや紙に書き殴っていました。一年目は受験のスケジュール上、二次試験の学習に当てられる時間が少ないので、その焦りから「時間がないなら体で覚えるしかない」と当時の自分は考えたのでしょう。かなりの量の紙に論説の模範答案を書きましたが、結果は先に述べた通り不合格。ここで冷静に戦略を考え直します。二次試験はとにかく「理解」していなければ解けません。紙に書き殴っている時にも理解することを意識はしていましたが、おそらく書くことに気が取られすぎて理解が疎かになってしまっていたのです。そこで「理解」に全集中するために、論説問題は一歳書かずに、読んで理解に努める方針に変更しました。
又、比較的苦手な機械制御のパワーエレクトロニクスの問題も解くのをやめ、他の問題に集中することで得点を稼ぐようにしたのです。その結果二年目の二次試験受験で無事に合格を勝ち取ることができました。

学習法の提案:参考書、過去問、ノートの活用術

参考書に情報を集約する

 私は「参考書に書いてあることをノートにまとめる」という事をしなくなりました。参考書を読んで足りないと思った箇所を補足で足していくのです。つまり、自分オリジナルの参考書を作るということです。復習したいと思った時に「あれ、ノートに書いたっけ?参考書に書いたっけ?」と行き来する無駄をなくします。1箇所に全ての情報を集約する事で周回効率、復習効率向上を図ります。

 

自分で補足情報を書き込む

過去問でも情報の集約は可能

 これは過去問であっても同じことが言えます。特に電験一種には、これといった参考書がありません。過去問はあるのですが、範囲が広すぎるあまり参考書がないのです。このような時にもオリジナルページの作成は有効かと思います。

電験一種の過去問に貼り付けたオリジナルページ

 解説に対する深掘りや不足している箇所を、自分で書籍やネットで得た知識を元に紙にまとめます。これを過去問に貼り付けることで、自分だけの解説を作っていくのです。過去問は基本的に何度も周回しますから、初めの一周目に作成しておくと、以降の周回で楽に復習できるでしょう。一周目は大変かもしれませんが、大変なのが勉強です。

ノートを取ることの意義

 ここで「ノートをとる」ことの意義について考えてみます。ノートをとるという行為は学生時代から誰しもが行っていたことでしょう。私が学生の時にはノートが回収され、ノートが綺麗にとれているかどうかが成績にも反映されていました。この場合、ノートを綺麗にとらなければ良い成績が貰えないので、良い悪いは置いておいてノートを綺麗にとる必要があります。しかし、社会人になってから必要なことを学習する場合はどうでしょうか。誰かにノートを見られることはありませんし、回収されて人事考課に影響するなんてこともありません。あくまでも「知識・知見を手に入れる」ことを目的とし勉強するわけで、ノートを取るという行為は手段でしかない訳です。私のように「書く」ことに意識が向きすぎる人は必ずしも書かなくても良いと思うのです。

 皆さんも今一度、ノートの活用法を考え直してみてはいかがでしょうか。

ノートの活用術:「超速アウトプット」

 ここで私のオススメのノートの活用術をお伝えします。それは「超速アウトプット」です。参考書で読んだところや学んだことを、すぐにノートにアウトプットしてみるのです。書けなければ「理解できていない」ということです。これを行ってみると、如何に自分が流し読みしているかが分かるようになり、参考書に対する意識も変化してくると思います。あくまでもアウトプットのために書くのであって、見返す用に書いているのではありません。

教材活用手順の大枠

 参考書、過去問の活用手順は、どの資格試験であっても大枠は変わらないように思います。私が学習を進めるときの手順の大枠を書いてみますので参考にしてみてください。

  1. 参考書に書き込みながら一周してみる。

  2. 過去問一周目を取り組む。
    間違えた問題は参考書で復習し、解説は可能な限り読む。復習時や解説を読んでいる時にさらに書き加えていく。

  3. 過去問を二周目取り組む。
    間違えた問題は参考書で復習し、解説は可能な限り読む。復習時や解説を読んでいる時にさらに書き加えていく。

  4. 以後ループ

 大枠はこのような感じです。過去問は基本周回し、参考書は復習用に用います。あくまでも”大枠”であるのは、必要に応じて専門書に取り組むからです。途中で得意不得意を考慮して捨て問を決めたりもします。

自分に合った学習法を見つけよう

 以上の経験は、私自身が試行錯誤を行なってきた歴史です。したがって、これを見てくださっている方全員に当てはまるとは全く思っていません。あくまでも大切なのは「自分に合った学習法を見つけること」です。知識の応用先は限られたとしても、学習法を確立しておくことは、どんなことにも応用できると思います。資格だけではなく、仕事のインプットにも役立つと思うのです。

補足的なアドバイス

可能な限り連続して資格試験を受けよう

 これはどういう事かというと、「知識が残っているうちに取れるものを取ってしまう」という事です。私は、電験一種合格後にエネルギー管理士電気分野を受験しましたが「過去問一周+法規隙間時間読み」のみの学習法で四科目一発合格できました。これは間違いなく「継続」による効果が大きいです。試験と試験の間を何年も空けてしまうと、次受験する時には「知識を思い出すところ」から始まってしまいます。毎日少しでも良いので知識を維持•アップデートしておくと、楽に合格できます。なので、可能な限り連続して資格試験を受けることをオススメする訳です。一見大変なように見えると思いますが、いずれどのみち受けるのであれば、思い出す期間を極力減らすことが最短ルートなように思います。

書籍の購入は投資

 専門分野であればあるほど、書籍の価格は高くなる傾向にあります。が、私は書籍の購入に関してはあまり躊躇せずに購入するように心がけています。なぜならば、投資の側面が強いからです。数千円支払って、自分の人生をより良く出来る知識や考え方を手に入れられるのであれば、私はそれで構いません。”投資”には長期的な視点と志が必要です。掛けたお金が帰ってくるか、も大切かと思いますが、如何に購入した書籍から学ぼうとし、目的に向かって活用しようとするかが大事なように思うのです。
同じ分野の書籍をいくつか買ってみると、内容が重複する場合が出てきます。その場合であっても表現の仕方は十人十色であり、一つとして全く同じ参考書はありません。むしろ多角的な表現方法に触れることで理解が深まることもあります。購入して後悔した書籍は今のところありません。学ぼうと思えば、どんなものからでも学べます。
投資的な価値観は人によって違いますから、それぞれの価値観に沿って程度を決めていただければそれで良いと思います。

アウトプットの重要性

アウトプットは最大のインプット

 攻撃は最大の防御なり、という言葉がありますが、これを学習に落とし込んだものが「アウトプットは最大のインプット」です。私は電験一種受験の際に自分のブログ(サイト)を立ち上げ電気に関することを発信していました。発信することそのものというよりも、発信するまでの過程が最大のインプットとなると実感しているのです。記事が出来上がるまでの過程を示してみます。

  1. 本やネットで学習する

  2. 自分なりにまとめてみる

  3. イラストを用意してみる

  4. 誰でも見やすいように記事の構成を考え作成する

  5. 発信する

 大まかに以上のようなプロセスがあります。本の内容やネット上の内容をそのまま転用すると著作権侵害の恐れもあるので、あくまでも「自分の言葉でまとめる」ということが大切です。普通に勉強していては、1と2までは行ったとしても、3と4までは行わないと思います。この過程が何よりも自分にとっての学習になるのです。誰かに説明しようと思えば、誰よりもその内容の理解が必要ですから。
サイトやブログ作成にまで至らなくても、SNSでまとめノートを発信してみたりするだけでも充分かと思います。「誰かに見られている」という状態を意図的に作り出し、学習をより良いものにする狙いです。

実際に作成した記事の一部

各項目を簡潔に纏めているスライドを作成しております。是非お暇な時にご覧ください。

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継続のノウハウ

 では、何故自分は5年以上も学習を継続できているのか。可能な限り客観的に俯瞰し、言葉にしてみます。

根本にある「得意」と「好き」

 高校は偏差値47の普通以下でしたが、中学高校一貫して数学は得意でした。国語や世界史などの科目が足を引っ張っていたのです。あと音楽も笑。中学時代は大学進学も特に考えていませんでしたので工業高校に進学しますが、そこでとある科目に出逢います。それが「電気基礎科目」です。数学はそれなりにできたので、電気数学に特に苦戦せず、高成績を残せていたと思います。
高校生活も終盤に差し掛かった時、平均内申が4.5程度。大学進学も考えましたが、大学に通うのであれば自分のお金で、という家庭方針でもありましたので、「得意なことを磨く」のなら大学進学だけが選択肢ではない。と考えます。
「得意」が先か「好き」が先かは明確にすることが難しい側面はありますが、得意を磨けば好きになり、好きなことならより頑張れ得意になる。得意なことで少しずつ成功体験を積み重ねていけば、より好きになっていく。この好循環を生み出せます。

「なぜそんなに電気が好きなのか」

と問われても答えることが難しい原因はここにあります。高校時代からの成功体験や役に立った経験の積み重ねがあって今現在の「好き」に集約されているのです。正確に言うと、どんどん好きになっていった、が正しいですかね。

 

好循環のサイクル

 自分の得意なことや好きなことを見つけ出し、好循環のサイクルを生み出すことができれば、人生を通して長期間取り組めるのではないのかと思っています。

強い目的志向

 先ほどの「目的・戦略・戦術」にも通じますが、全ての行動には目的があるはずです。つまり、目的を明確に意識できればできるほど、今現在の行動の”理由”が明確になり力をこめることができます。
私が、長期的にモチベーションを保つために行なっていることがあります。それは「将来像を可視化して言語化しておくこと」です。

  • 将来的にどんな自分になっていたいのか

  • そのためにはどんなスキルや経験が必要なのか

  • 今やるべきことはなんなのか

などを紙に書いて貼っておくのです。書き出していることが鮮明であればあるほど、つまり将来的になりたい姿(=目的)が明確であるほど、取り組みにも力が入ります。全ての行動に理由がついてまわれば、長期的に継続できる確率もどんどん上がっていくことでしょう。目的が達成できたものは、随時更新していきます。

習慣化できれば勝ち

 歯磨きを毎日行うのと同じように、学習も毎日行う。息を吸うように取り組む。これが「習慣化」ということです。口で言うのは簡単でも、実際にできる人は少ないものです。習慣は「簡単に変えられない」からこそ習慣なのであり、だからこそ学習が習慣化できれば”勝ち”に近づくのだと思います。
この習慣化は「慣性力」で例えると分かりやすいです。大きな重い回転体があったとします。それを止まっている状態から回転させようと思えば、物凄く多大な労力が必要なことは想像に容易いでしょう。しかし、ある程度回転させれば楽に回せるようになり、今度は逆に止めることが難しくなります。つまり、「変化の時」に大きな労力が必要になるのです。習慣化する際も考え方は一緒です。初めは辛いもので、なかなか行動は定着しません。やめたくなります。でも、これを乗り越えれば少しは楽になる!と思えれば継続しやすくなるでしょう。
一番初めの「回し始め」の心の支えになるのが、先に述べた「強い目的志向」でもあるのです。

資格試験に学歴は必要か

 資格試験に合格するのに学歴は必要なのか。当然、受験要件に「大卒」があれば必要ですが、そうでなく誰でも受けられるものであれば当然不要です。では、ここでの問題は、何故高学歴の人ほど難関試験にポンポン合格していくのか。この点かと思います。
地頭が良いから、遺伝子が違うから、では何も学べません。

「高学歴」は下積みの証

 学歴と親の年収には相関関係がある。これはご存知の方も多いでしょう。遺伝子も全く関係ないとは言えません。しかし、高学歴と言われる方の過去見てみると、明らかに勉強の下積み量が違うのです。ここに「本質」があると思っています。頭を鍛えるべき時期に、適切な勉強をすることで”頭を鍛えていた”。この下積みによって得られた頭脳とノウハウが、難関試験にポンポン合格させるのです。では、私のような「低学歴」がやるべきことはなんなのか。それは、彼らがおこなったような下積みを今からやるのです。自分が磨いていきたい領域の基礎となっているものをひたすら磨くのです。そうすれば彼らとの差を少しでも埋めることができると考えます。

本質を見抜く

 SNSが普及し、様々な人の生き様が簡単に見られるようになった現在。自分の無力感や無能感に苛まれることもあると思います。何度も言うようですが、遺伝子や環境の違いが関係ないとは全く思いません。しかし、そこばかりに焦点を当てていても仕方ないのです。自分の目指す理想と現状の本質的な差はなんなのか。そしてその差を埋める手段は何があるのかを見極め、自責思考で物事を考えることが真の成長につながると考えています。

実務と座学の結びつき

 資格や座学の議論でよく取り上げられるテーマが実務の重要性です。「実務の方が座学”よりも”重要」との意見もしばしば耳にします。しかし、実際のところ、どうでしょうか。

相乗効果を意識する

 結論を述べると、実務と座学は相互に依存する関係にあり、相乗効果を生むと私は考えています。座学の知識が増えることで、実務のパフォーマンスが向上し、逆に実務の経験が増えることで座学の理解が深まる。実務と座学は両輪だと感じています。
どちらが重要かという議論よりも、両方の価値を正しく認識し、バランスよく取り組むことが重要だと思うのです。仕事で必要とされる知識の範囲を狭め、自らの可能性を制限してしまうことのないよう注意が必要です。

自己研鑽とプロの義務

プロ

 「義務」とは少々大袈裟に書きましたが、これはあくまでも私の意識の話です。皆さんに強要する意味では決してありません。様々な「プロ」とつく職業がありますが、主にスポーツにつけられる事が多いと思います。

  • プロ野球選手

  • プロボーラー

  • プロサッカー選手

  • プロボクサー

などです。頂点に君臨する人は誰もが羨むほどの多くのお金を稼ぎます。しかし、彼らの私生活をよく見てみてください。制限された食生活、膨大でハードな練習時間、徹底した健康管理という日常があります。私生活を犠牲にして能力を高め本番で結果を出すのです。その結果に対して高収入が付録として付いてきます。これを一般の会社員に当てはめるとどうでしょうか。彼らの高収入を羨むものの、私生活を何か制限して能力を高めておくということをしない人がほとんどです。私は電気に携わるプロとして、仕事(本番)で結果が出るように頭を鍛えておきたいと考えます。特に電気は危険なものでもありますから、自分の身を守るため、公共の利益のため、公共の安全のために自己研鑽を続けることが「義務」であると考えているのです。もちろん、押し付けているわけではありませんので誤解のないことを願います。

三島由紀夫の言葉

 私の好きな三島由紀夫の言葉に「人間は自分の為に生きて、自分の為に死ぬほど強くはない」があります。自分のために頑張ることももちろん有効であり大切なのですが、社会や公共のためにも努力することで、より大きな力を発揮でき、継続の糧となるのではないかと感じています。近江商人の三方よしの考えにも通じるものがありそうです。

頑張る皆さんに

進歩の方法を知ること

 ここまで長々と書いてきましたが、これらのノウハウはあくまでも自分なりに試行錯誤し学んだ経験の蓄積です。したがって、これは「私に」とって最も適合する方法であり、読んでくださった全ての人に当てはまるとは微塵も思っていません。学習することの本質は「自分が成長・進歩する方法を知ること」だと思っています。得意な学習法も違えば、持っている能力も十人十色です。参考にして頂けるのは有り難いですが、自分に合わないと思えばやめていただいて全然構いません。自分に合わない方法を見つけることも学習の一部だと思うのです。
是非、試行錯誤しながら自分なりのノウハウを見つけて行ってください。

自分の山を登ろう

 冒頭でも述べましたが、日本の社会人の勉強時間はかなり短いです。何もしない人が多い中、

「日本はヤバイ」
「日本は沈没船だ」
「給料が上がらないのは国のせいだ」

などのネガティブな声もたくさん聴こえてきます。もちろん政治の責任や企業側の責任が全くないとは思いません。追求するべきところはすべきですし、選挙に行くことも大切です。しかし、そこに文句を言うことばかりに終始していても仕方ないですし、自分にとっての良い変化が起こる確率も低いです。この記事をここまで読んでくださっている方は、きっとすでに何かしら自分の中で変化を起こそうとしている方や、変わろうとしている最中の方が多いかと思います。他責思考で思考停止する人が多い中、自分にベクトルを向けて自責思考で頑張り続けることは、それだけで素晴らしいと思うのです。報われていなければ方向転換すれば良いだけ。より良い人生を過ごし、少しでも良い国にできるように頑張っていきましょう。
人と比較しすぎることも必要ありません。自分のやりたいこと、得意なことを磨いていく。自分の山の登り方を見つけながら一歩ずつ行きましょう。

 この記事は少しずつアップデートしていきます。では、ここまで読んで頂き、ありがとうございました。

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