ここでは、電気化学に登場する用語を覚え方・考え方と共に確認していきましょう。
電気化学に登場する用語・公式
用語と公式一覧
電気量
電気量の単位は[C(クーロン)]であり、電荷の量のことを言います。電荷には正電荷と負電荷がありますので、電気量にも正負があります。電気量は以下の式で表されます。
アボガドロ定数
皆さんご想像の通り、原子1個の質量はものすごく軽いです。したがって原子(分子)をある程度集めて「1」とすると扱いやすくなります。そこで昔の人は、炭素原子(C)を基準に考え、炭素原子が12gになるときの原子の数が$6.02×10^{23}個$であったので、この「$6.02×10^{23}$」をアボガドロ定数とし、「1mol」として扱うこととしました。
$$アボガドロ定数NA=6.02×10^{23}$$
であることを覚えておきましょう。
電気素量
電気素量とは、陽子又は電子1個のもつ電荷量の絶対値であり、その値は
$$1.602 176 634 × 10^{-19}[C]$$となります。
原子量と分子量
原子量とは、炭素原子の原子量を12とし、これを基準としたときの各原子の質量です。「炭素原子の原子量が12」というのは、「炭素原子が$1mol(6.02×10^{23}個)$集まったとき12gになる」という意味です。
下に主要な原子の原子量と分子量を示します。
価電子
価電子というのは、最外殻電子の数を言いますが、18族のみ例外とし殻て0になります。(価電子はもう少し正確に言うと、化学結合に関与する電子の数なので、最外殻に電子がビッシリ埋まっている18族は0になります。)
原子価
原子価とは、ある原子が何個のほかの原子と結合するかを表す数になります。
元素と原子価・価電子を表にしたものを示します。
化学当量
化学当量は「化学反応における量的な比例関係を表す概念」になります。
ファラデー定数(電気化学定数)
ファラデー定数とは、電子1molのもつ電気量のことを言います。
ファラデーの法則
- 第1法則・・・析出(電気分解)された物質の量は、流れた電気量に比例する
- 第2法則・・・電気量が同一の場合、析出される物質の量は、その物質の電気化学当量に比例する。
電気分解
電気分解とは、化合物に電圧を加えることによって、陽極に酸化反応、陰極に還元反応を起こし、化合物を化学分解すること。を言います。水の電気分解は中学時代に実験された方も多いのではないのでしょうか。
酸化
酸化というと、「物質が酸素と化合すること」をイメージされるかと思いますが、広く「物質が電子を失う化学反応のこと」のことを言います。したがって電池の放電反応の際、陰極から電子が放出されるのですが、これは陰極にて酸化反応が起こっていることになります。
充電反応の際には、陽極(正極)で酸化反応が生じています。
還元
還元というと、「物質が酸素を放出すること」をイメージするかと思いますが、広く「物質が電子を受け取る化学反応のこと」を言います。したがって電池の放電反応の際、陽極に外部回路から電子が入っていくのですが、これは陽極にて還元反応が起こっていることになります。
充電反応の際、陰極(負極)にて還元反応が生じています。
一次電池
一次電池は、一度放電しきると使用不可能になる電池のことを言います。
- リチウム一次電池
- アルカリ乾電池
- マンガン乾電池
- 空気亜鉛電池
- アルカリボタン電池
などが一次電池に該当します。
二次電池
二次電池は一次電池とは異なり、放電後に充電することで再び使用することが可能になる電池のことを言います。
- リチウムイオン電池
- 鉛蓄電池
- レドックスフロー電池
- ナトリウム硫黄電池
- ニッケルカドミウム電池
などが二次電池に該当します。
上記に挙げた二次電池の特徴や構造、反応式についてまとめた記事がありますので下から参照してください。
二次電池とは 二次電池は、 「放電した後も、充電することで繰り返し使用できる電池」 のことを言います。 一方で、一度放電すると使用不可になるものが「一次電池」になります。 今回は、この『二次電池』についてまとめていきたいと[…]
陽極(正極)
放電反応の場合、電流が出ていく方(電子が入っていく方)が陽極(正極)になります。
充電反応の場合、直流電源のプラス側、つまり、電流が入っていく方(電子が出ていく方)が陽極(正極)になります。
陰極(負極)
放電反応の場合、電流が入っていく方(電子が出ていく方)が陰極(負極)になります。
充電反応の場合、直流電源のマイナス側、つまり、電流が出ていく方(電子が入っていく方)が陰極(負極)になります。
アノード
アノードは「酸化反応が起こる電極(電子が放出される電極)」を言います。「アノード=陽極」というように覚える方がいますが、勘違いを生む原因になりますので、「アノード=酸化反応」と覚えるようにしてください。つまり、放電・充電反応でアノードは変わるのです。
カソード
アノードが「酸化反応が起こる電極」でしたので、カソードはその逆である「還元反応が起こる電極(電子が流れ込む電極)」のことを言います。
電解液
電解液は、イオン性物質を水などの極性溶媒に溶解させて作った、電気伝導性を有する溶液になります。放電(充電)反応が起こると、外部回路を電子が通るのですが、それによって生じたイオンが行き来するためのものが電解液になります。
以上で終わりになりますが、また必要に応じて用語を足していったり、イラストを追加していきます。今後もご活用いただけると幸いです。
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