キルヒホッフの法則

『キルヒホッフの法則』は、電気回路内の関係を記述する基本的な法則で、第一法則(電流則)と第二法則(電圧則)から構成されます。この法則は、ドイツの物理学者グスタフ・キルヒホッフによって1847年に発見されました。

電気回路を読み解く上で重要な法則ですが、その内容は至ってシンプルです。文章で書くと難しく感じますが、皆さんの持っている直感に反しない内容なので気負いせずに取り組んでください。

キルヒホッフの第一法則(電流則)

回路網中の任意の接続点に流出入する電流の総和は0である。

これがキルヒホッフの第一法則であり、回路の電流に関する法則です。

まず、回路内に存在する分岐点を考えます。

第一法則が言っていることは、どんな分岐であっても流入する電流と流出する電流は等しい。これを言っているだけです。もう少し詳しく見てみましょう。

↑のように、接続点に流入する電流 $I_{1}[A]$ , $I_{2}[A]$と流出する電流 $I_{3}[A]$ , $I_{4}[A]$があるとします。接続点に流入する電流を正とすると、以下の式が成り立ちます。

$$I_{1}+I_{2}+(-I_{3})+(-I_{4})=0$$

しっかりと”総和が0”になっていますね!

負の部分を右辺に移項すると、

$$I_{1}+I_{2}=I_{3}+I_{4}$$

になります。ここから、流入する電流と流出する電流は同じとも読み取ることが出来ます。

キルヒホッフの第二法則(電圧則)

回路網中の任意の閉路を一巡するとき、起電力の総和と電圧降下の総和は等しい。

これがキルヒホッフの第二法則であり、電圧に関する法則です。

まず、回路中の任意の閉路(どこでも良い)を考えます。

赤線で表した閉じた回路(=閉回路)を見ます。

ここで言う起電力は、電圧の発生源のことであり、電圧$V[V]$を指しています。そして電圧降下は、抵抗$R_{1}[Ω]$ , $R_{2}[Ω]$に生じる電圧$R_{1}I_{1}[V]$ , $R_{2}I_{2}[V]$を指しています。起電力や電圧降下の正負を決めるときには、赤線の矢印と、それぞれの矢印を比較します。

起電力=電圧降下とするとき、

・起電力の矢印の方向と赤線の矢印の方向が同じ⇨正
・起電力の矢印の方向と赤線の矢印の方向が逆⇨負

・抵抗を流れる電流の矢印の方向と赤線の矢印の方向が同じ⇨電圧降下は正
・抵抗を流れる電流の矢印の方向と赤線の矢印の方向が逆⇨電圧降下は負

と考えます。そうすると、起電力$V[V]$の矢印の方向と赤線の矢印の方向が同じなので正、電流$I_{1}[A]$ , $I_{2}[A]$の矢印の方向と、赤線の矢印の方向が同じなので、電圧降下は正になります。

これらの総和は等しいと言うことなので、

$$V=R_{1}I_{1}+R_{2}I_{2}$$

が成り立ちます。これがキルヒホッフの第二法則になります。これは、電源$V[V]$の含まれていない閉回路を見ても同じです。例として右側の閉回路を見てみましょう。

右側の閉回路には、起電力が含まれていません。そして、赤線の矢印と電流$I_{2}[A]$は逆方向になっているので注意しましょう。

$$起電力=電圧降下$$

とすると、今回考える閉回路中に電源はないので左辺は「0」です。そして、

・$I_{2}[A]$の矢印の方向と赤線の矢印の方向が逆⇨電圧降下$R_{2}I_{2}[V]$は負
・$I_{3}[A]$の矢印の方向と赤線の矢印の方向が同じ⇨電圧降下$R_{3}I_{3}[V]$は正

として式を書くと、

$$0=-R_{2}I_{2}+R_{3}I_{3}$$

となります。

$-R_{2}I_{2}$を左辺に移項すると、

$$R_{2}I_{2}=R_{3}I_{3}$$

となります。

オススメ記事

関連記事

『オームの法則』は電気工学の基本的な法則の一つで、ドイツの物理学者ゲオルク・ジーモン・オームによって1827年に公表されました。この法則は、電気回路内の電流、電圧、抵抗の関係を表しています。以下にオームの法則について詳しく説明しますので、練[…]

 

 

電気系の情報発信をしています。