【全ての基本】オームの法則

オームの法則

今回は電気を学ぶ上での基本!「オームの法則」について解説したいと思います。(この記事は、完全初学者向けに書きますので電験受験者の方には簡単すぎると思います。)

初学者の方にも分かるように心がけますので頑張ってついてきてくださいね。

オームの法則とは

まず、「オームの法則」と聞くと、下の<画像1>のやりかたを思い浮かべる方が多いと思います。

<画像1>

まずはっきり言ってしまいますが、この覚え方はおたんこなすです。(言い過ぎました)
何故かというと、このような”表面的な”覚え方は、応用が利かないからです。確かに本当に初歩的な問題に対しては一定の効果はあるのかもしれませんが、少し難しい問題になってくると詰んできます。

したがってオームの法則を”絵的に頭の中でイメージ”できるようになることをこの記事の目的とします。


では見出しの内容に入りますが、まず「オームの法則とは」を調べてみます。すると、

導電現象において、 電気回路 の部分に流れる 電流 とその両端の 電位差 の関係を主張する 法則 である

引用:オームの法則 – Wikipedia

と、難しい感じの文章が出てきます。

これをわかりやすいようにイラストにしてみましょう。

<画像2>

イラストにすると分かりやすくなったと思います。このように電気の学習においては、「分からなかったら絵を描く」を大事にしてみてください。以外にすんなりわかったりします。

では内容に戻ると、「電気回路」という全体があって、「部分」がその中にあります。この「部分」というのは、電気回路上ならどこでもいいのです。

次に「部分」を拡大してみましょう。

<画像3>

「部分」を拡大すると、<画像3>のようになります。

電位と電位差

この電位差というのは、「二点間の電位の差」という意味です。

下のイラスト<画像4>をご覧ください。

<画像4>

<画像4>は人間に例えたものになります。

左側は、地面を基準(=0)としたものになります。この場合、小さい人は「基準から1.5m」、大きい人は「基準から2.5m」となります。この二人の身長差は1.0mですよね。

一方右側は、小さい人の身長を基準(=0)としています。この場合、大きい人は基準から1.0m、地面は基準からー1.5mとなります。この二人の身長差は、左側と同様に1.0mとなります。

画像中にもありますが、ポイントをまとめると、

!ポイント!
・「電位」は基準からの高さ(位置エネルギー)→基準の取り方で変わる
・「電位差」は二点間の「電位」の差→基準をどこにとっても変わらない

となります。

電流

電流の正体とはいったい何なのでしょう?

電流とは、と調べてみると、

、電子やイオンなどの荷電粒子が導電体や空間を移動する流れである。 電流の担い手となるキャリアには電子・イオン・正孔があるので、電流は電子の流れではない。

引用:電流 – Wikipedia

と出てきます。なんだかよくわかりませんね(´;ω;`)

よく初学者の方で勘違いされているのが、電流の向き=電子の移動の向きであるということです。まず次のイラストで簡単な科学の確認をしてください。

次のイラストに電流の正体を載せます。

実は電流の向きというのは「正孔」の移動方向だったのです。ここで注意が必要なのが「正孔と陽子」は違うものであるということです。正孔というのは、電子の移動によってできた「電子の存在しない場所」が、周囲に比べて+(正)になってできるものです。

この正孔の移動というのは、電子の移動があって起こることです。なので、「 電流の担い手となるキャリアには電子・イオン・正孔があるので、電流は電子の流れではない。」のような書き方になっているのですね。

なぜ電流と電子の移動の方向が逆なのかというのは経緯があるみたいですので興味のある方は調べてみてください。

 


ではここで、「オームの法則」に関する引用文をもう一度見てみましょう。

導電現象において、 電気回路 の部分に流れる 電流 とその両端の 電位差 の関係を主張する 法則 である
だいぶ頭の中でイメージできたかと思います。次に、「電流とその両端の電圧の関係を主張する法則」と言っていますね。
電圧$V$と電流$I$は”比例関係”にあり、この二つを結ぶものは何か?
つまり、$$V=aI(aは比例定数)$$の比例定数aの正体は何なんだろう?
<画像5>
この比例定数が、「抵抗(Resistance)」$R$であるということです。
電圧$V$と電流$I$は比例定数である抵抗$R$によって結ばれる。つまり$$V=RI$$という関係があるというのが、「オームの法則」というわけですね。
これを基にして、電流を求める形に変形すると、$$I=\frac{V}{R}$$となり、電圧を一定にし、電気抵抗を大きくすると電流が小さくなります。電気抵抗は「電流を妨げるもの」ということですね。

抵抗$R$

ここまでで、「電気抵抗」は電流を妨げるものであるということが分かりましたね。ではこの「電気抵抗」は何によって決まるのか考えてみましょう。これに関しては直感に反しませんので、これまでの日常生活の経験から容易にわかると思います。

様々なパターンを比較して、抵抗$R$を求める式を導いてみましょう!!

パターン① 長さが同じで太さが異なる導体

<画像6>

右と左の導体を比べてみて、どちらが電流が流れやすいと思いますか?
例えば車、「細い道」と「広い道」どちらが走りやすいでしょうか?

直感で分かりますね!太いほうが電流は流れやすいです。

ここで「太さ」を導体の断面積$A[m^{2}]$としましょう。

電気抵抗は太いほど小さくなる→断面積が大きいほど電気抵抗は小さい。よって$$R∝\frac{1}{A}・・・①$$となることが分かりました。

パターン② 長さが異なっていて太さが同じな導体

<画像7>

次のパターンは、長さのみが異なっていますね。

導体が「長いほう」と「短いほう」、どちらが流れやすいでしょうか?

電流というのは電荷の流れでしたよね!電荷が導体の中で、原子とぶつかって勢いを失うイメージをすると分かりやすいと思います。

結論、導体が「短いほう」がぶつかる回数は減りますので、電流は流れやすくなります。逆に、長いほどたくさんぶつかりますので、電流は流れにくいです。

導体の長さを$L[m]$とし、これを言い換えると、「導体が長いほど電気抵抗は大きくなる」となり、$$R∝L・・・②$$となります。


ここで①と②を合体しましょう。すると、$$R∝\frac{L}{A}$$となりました。

この式の「∝」を「=」にしたいわけですが、残りの「太さ」と「長さ」以外の要素はあとなんでしょうか?

答えを言うと、それは、導体の種類です。では次のパターンへ!

パターン③ 太さと長さが同じで素材が違う場合

<画像8>

ここでは、「銀」と「銅」の二種類の導体を用意しました。太さも長さも同じです。
この二つの電気抵抗は同じかというと、結論はNoです。これも直感で分かりますね。この場合銀のほうが電流が流れやすいです。

ここで、「導体の種類によって電気抵抗が違う」というのを、数式に落とし込むために、「電気抵抗率:$ρ$(ロー)」が登場します。電気抵抗率は素材によって変わり、この値が大きいほど電気抵抗は大きくなります。つまり、$$R∝ρ・・・③$$となることが分かり、①②③を合体すると、$$R=ρ\frac{L}{A}$$となる関係が無事導かれました。

電気抵抗率に関して覚えておくことは、「銀<銅<金<アルミ」の関係があることくらいです。それぞれの数値を覚える必要はありません。興味があったら調べてみてください。

ちなみに「電気抵抗率:$ρ$」の単位は[Ω・m]ですが、こんなものは覚えなくていいです。$$R=ρ\frac{L}{A}$$の単位のみで計算してみてください。$ρ$の単位を$[X]$と置いて、$$[Ω]=[X]\frac{[m]}{[m^{2}]}$$ $$[X]=[Ω・m]$$と直ぐにわかります。
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